『剣遊記 番外編Y』 第三章 美女が液体人間。 (14) 炉箆裸本人としては、つい洩らした本音であろうか。しかしこれもやっぱり、ただの無駄話。律子は間髪入れずの拒否反応を示してやった。
「そげんねぇ、あんたがわたしば好きやったっち言うとねぇ☻ そりゃどうもありがとさん✄ そやかてわたしにとっては、いっちょん迷惑な話ばいねぇ⛔ わたしはヒデんこつ、心ん底から愛しとんやけねぇ☺」
しかしこれがいけなかった。
「けけっ☻ 炉箆裸の兄貴、フラれちゃったばいねぇ✌」
「しゃーーしかぁ!」
仲間たちからまたもや嘲笑され、完全に頭に血が昇り切ったようだ。炉箆裸が言ってはいけないセリフを、どんどんと勝手に口走ってくれた。
「こげんなったら、可愛さ余って憎さ百倍っちゃねぇ! おまえらこんふたりば真っ裸にひん剥いちまうったい! それからおまえの亭主ん前にほっぽり出してやるっちゃね!☻」
この炉箆裸とかいう男。精神がかなり屈折しまくっているようだ。
「ささささささささ最低っ! そげんこつずえったいさせんけねぇ!」
炉箆裸はまさに、血液が頭に逆流している感じ。しかしそれは、律子も同じであった。決して芸を見せているわけではないが、緑色の髪がまた、いつもの定番で天井に向けて逆立った。
ただし何度も述べてはいるが、ここは太陽光線がまったく差し込まない、地下の迷宮なのだ。このような場所だと、律子は薔薇の力が発揮できずに無力でいる状態なのも、すでに前述済みである。
(……ほんなこつ腹かくとばってん、こげな地の底やったら、こいつらに勝てる見込みなかばいねぇ♋ ここはなんとかして、地上に出るチャンスば待たんといけんみたい⛑) (C)2015 Tetsuo Matsumoto, All Rights Reserved. |