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『剣遊記 番外編Y』

第一章  女盗賊への弟子入り志願。

     (6)

「な、なんだ!?」

 

 唐突に見えた律子の毅然とした態度に、男どものほうが、逆に飲まれた格好となった。そこで、このような空気となっているうちにだった。律子は一気に、セリフをまくし立ててやった。

 

「あんたらに訊くとばってん、あんたらっち、人ん特技ば発掘するんが使命とか言いよったばいねぇ、さっき♐」

 

「あ、ああ、言ったよ♣」

 

 最初の金髪勧誘男が、すなおにコクリとうなずいた。他の四人の態度もまた、大同小異と言える感じだった。そこで律子は、大きなハッタリをブチかましてやる気になった。

 

「やけんたい★ ここで名前と住所ば言うよか、先にわたしの特技ば見せてあげるんやけね✊✋ あんたらのお望みどおりにばい☆」

 

 実のところ律子自身も、今のハッタリには自分で多少の恥じらいを感じていた。だけどそこは、心の芯から強気の性格である彼女なのだ。おまけにきょうに限って、なんとしてでも守ってあげないといけない、後輩もいる。

 

 今さらあとには引けんばい――と言うものである。

 

 だが勧誘男たちのほうとしても、律子からの突然の申し出は、予想外の事態であったようだ。

 

「な、なに言ってんだよ……♋ それより君の名前のほうが先だろ☹☕⚠」

 

 金髪男の右横に立つ、野郎Aが言った。自分たちで『特殊能力なんとかカンとか✍』と名乗っておきながら、早くもその崇高な使命(?)を忘れたかのよう。見事に苦しいうろたえ振りとなっていた。

 

(ははぁ〜〜☻ やっぱそげなもんやねぇ〜〜☠)

 

 連中の態度を見て、律子は薄々感じていた推測を、はっきり確信へと変換させた。

 

(やっぱこいつら、適当に勧誘理由なんか並べとってから、わたしらばなんかえずい方向に誘ってんやねぇ☢ やっぱ壺買えやろっか☠)

 

 実際のところ、彼らの口車の先など、今の段階ですべて判明しているわけではなかった。だけどそれが、なんとなくだが見えたも同然。いや、知る必要すら皆無なのかもしれないのだ。

 

 そこでいわゆる、大袈裟なハッタリかましも、律子の十八番{おはこ}。

 

「とにかく、わたしん特技ば御披露しますばい☀ 目ん玉ば大きゅうしてよう見るとよ⚠⛳」

 

 律子はここで、大きな啖呵を口上した。そのとたんだった。

 

「な、なんじゃこりゃあーーっ!」

 

 男のひとりが、高い悲鳴を張り上げた。


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