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『剣遊記Y』

第二章 伝説の剣豪。

     (5)

 このとき例によって、空から一部始終を見ていた者がいた。無論のごとく、幽霊の涼子。

 

『あ〜あ、せっかく店長に謎の従妹がおったっちゅうて、孝治ば驚かせようっち思いよったとにぃ☁ これじゃ今それば言うたって、驚き度がいっちょん弱くなっちゃうだけっちゃねぇ〜〜☹』

 

 いつの間にか、従妹に『謎』の枕詞{まくらことば}が勝手にくっ付いている言葉づかいは、この際棚上げ。それよりはどのように見ても考えても、一般人である店長の従妹より有名人との遭遇のほうが、受ける衝撃が断然に強力である。

 

 それくらいの空気など、涼子は簡単に見抜けるのだ。

 

『あたしも行ってみよっと☞』

 

けっきょく涼子もそちらのほうに興味が惹かれ、こっそりと空の上から孝治たちを追跡――という事の顛末。


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