『剣遊記 邂逅編T』 第一章 出逢い……そして永遠に。 (8) たとえおれの事情ば知らんっちゅうても、それだけは誰にも決して犯してほしゅうない過ちやった☠
「初対面でおれんこつ初めて見るんは差し引くっちゃけど、おれは男やけん! 立派な男の戦士!」
「うっそぉ? それってほんなこつぅ?」
魔術師の彼女は、本心から驚いちょうような顔ばしてくれた。おまけにおれん顔ば、マジマジと見つめくさってから♨ またそれは、うしろで控えちょう三人の野郎どももいっしょやったと♐♐
「オ、オレも女ん戦士が出てきたっち思うたばい……♋」
「じ、実はおいらも……☛」
「奇遇やなぁ、わしもなんよ☹」
「しゃーーしぃーーっ!」
激怒にかられたおれは、矢も盾もたまらなかった☞ すぐに三人に剣の先ば突きつけ、それから思いっきり――一世一代のハッタリばブチかましてやったと!
「おれが男か女かなんち関係なか! とにかくおれが十数える間に、こっからとっとと消えるったい! でないと叩っ斬るけねぇ!」
「あほらしかぁ☻ そげなミエミエに乗れるわけなかろうも☠」
三人の中でいっちゃん背の高いヒゲ面のおっさんが、明らかにおれば見下した感じで言ってくれたっちゃね♨ これはおれの威勢ばハッタリっち見抜いたうえでの、逆ハッタリっちゃろうねぇ☻ でもおれかて、もうここで引き下がるわけにはいかんとたい♨
「ミエミエかどうかは、おれが十数えたあとではっきりするっちゃね! おれはこげん見えたかて、佐里鎌{さりがま}道場の門下生なんやけぇ!」
「なにぃ! あの佐里鎌道場のぉ!」
野郎のひとり(コボルト)が、おれのハッタリ――っちゅうか嘘八百に、もろ過剰な反応ばしてくれた☻
これは実に有り難かったけ☆ こげんなったらあとはもう、おれの思うツボっちゅうところやから✌
「兄貴ぃ……まずかばぁい♋ もしほんなこつ佐里鎌道場やったら、おいらたちじゃ勝ち目はねえばい……☠」
「……そ、そげなん、う、嘘に決まっとろうも……☠」
などと、おれの嘘ば見破っとうようでおっとって、ヒゲ面のおっさんの足かて、しっかりガタガタと震えちょった✋
こいつらがこげん怖がる理由は単純たい⛾ なにしろ佐里鎌道場が数多くの戦士や騎士たちば輩出した、全国でもその名も高い、名門の修行場であるからやけねぇ♡ こげな末端のチンピラまでもが、その名ばよう知っちょうほどなんやけ✍
もちろんおれがそこの出身やっちゅうのは、本当に大きな嘘やけね✌ 真実は一応繁盛こそしとうとやけど――ついでに三流とまでは言わんものの、二流がやっとの平凡な道場出身なんやけ☻
悪かっちゃねぇ♨ そげなとこの中退で☠
やけんこん嘘がバレんうちに、ハッタリばもっと大きゅうふくらませんといけん✈
「い、今から数えるけねぇ! いぃ〜〜ちぃ〜〜😅」
十数えるっちゅうても、時間稼ぎでわざと間延びした数え方してやったったい⛹ (C)2014 Tetsuo Matsumoto, All Rights Reserved. |