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『剣遊記 邂逅編T』

第一章  出逢い……そして永遠に。

     (5)

 おれは生まれて初めて、自分のモンになった剣を鞘から抜いて、天に向かって高く突き立ててみたったい✌

 

 念のため、ここは街から遠く離れた、深い森の奥にある、水が綺麗でさらにとってもちっちゃい泉の畔{ほとり}やね⛲ そうでないと、こげな恥ずかしい真似っち、とても人前でできんもんやけ☂

 

 ついでやけん、水面に写っちょう自分の姿も眺めてみたと⚣ 戦士定番の革製鎧で身を包んだ、おのれの勇ましい(と思うちょう)スタイルをやね✌

 

 やけど、その水面に写っちょうのは、いまいち迫力不足のおれなんよねぇ☁

 

「やっぱ、丸っきりのお嬢さんっちゃねぇ……これじゃ誰からそげん言われたかて、いっちょも文句が言えんちゃねぇ……☹☹☹」

 

 ガキ(幼少)ん頃から、極度の女ん子顔である自分の立ち姿。これがおれが道場で目立った、『別ん意味合い』っちゅう理由☂

 

 決して認めとうないとやけど、趣味が倒錯しとった先輩がおれに声ばかけたんも、なんかなしやけどわかるような気がするっちゃねぇ☻

 

 やけんこげな思い(要するにトラウマったい)から逃げとうなったんも、おれが戦士の道ば選んだ理由のひとつなんよねぇ☹ それでも駆け出し同然とは言え、この世界に一歩も二歩も足ば踏み入れとうとやけ、夢の半分――いんや十分の一以下やろっか? とにかく実現にかかりようとこっちゃけね✌


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