『剣遊記 邂逅編T』 第一章 出逢い……そして永遠に。 (4) この世に生ば授かったモンが、一定の義務教育期間ば終わって自分自身の生き方ば決めるとき、その選択肢はいくらでもありそうなもんやね✍
まずいっちゃん多かとなんが、家ば継ぐこと☘ やけどそれはほとんどの場合、長男とか長女の役割兼特権になっとうとやけ✍ で、あぶれた弟や妹なんかはどげんなるっちゅうたら、これがまったくの個人の自由っちゃね✌
で、素質と才能に恵まれとったら魔術師に♆
歌唱力に自信があったら吟遊詩人に♪
商才に長けとったら商人に✌
小手先が器用やったら盗賊に✋
なんもなかったら、ただのゴロツキに☠
それから腕に少々のモンがあったら、戦士に――っちゅう感じ♐
やけんおれん場合、六番目ば選んだわけったい✌
ちっちゃい頃から人から華奢{きゃしゃ}やっちよう言われよったんやけど、これでも子供んころから腕には多少の自信があったっちゃね✌ しかも剣の修行の場である道場でも、おれはそれなりに目立つ存在やったんやけ✌
もっとも自分で言うのもなんやけど、これはあんまし自慢できる話やなか☠ ただ別ん意味合いで目立っちょった――っちゅうのもあったけね☠ その意味合いの返上もしたかったと!
ところがおれは、決まりきった修練の日々に、なんとなくやけど、物足りなさば感じてしもうたと☁ で、勝手に道場ば飛び出してしもうたったい☃
理由はそれだけやなか☝ もともとからあんまし感じのようない道場でもあったけねぇ♋
家柄のええモンに向けたエコ贔屓は日常茶飯事やったし、門下生の間にある先輩後輩の上下関係かて、やたらと無意味に厳しかったもんやけ♨
おれは年が上やからっちゅう理由だけで威張る輩が、昔っから大っ嫌いやったもんね♨ でもそげなことぐらいやったら、世間一般じゃあ常識的な線やろうねぇ✍ 実際一年か二年くらい我慢ばすれば、今度はおれ自身が後輩たちに対して、傲慢極まる振る舞いばするようになったかもしれんばい☃
そげな自分なんか、考えとうもなかっちゃけど☠
とにかくそげな我慢の忍耐限度ば超えて、おれに道場ば飛び出す決心ばさせてくれたんが、某先輩の次のお言葉やったと☢
「き、君ぃ、いい顔しとるっちゃねぇ……ぼくと今夜、いっしょせん♡♥♡」
そいつはその方面に、趣味のある野郎やったと☠ やけんおれは先輩相手なんも構わんで、すぐにそいつの顔面に、前から右ん拳{こぶし}ば叩き込んでやったとたい♐
ついでに世話んなった道場からも、その日のうちに姿ば消してやったと✈ (C)2014 Tetsuo Matsumoto, All Rights Reserved. |