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『剣遊記 邂逅編T』

第一章  出逢い……そして永遠に。

     (3)

 それからすぐやった☆ かなり出来過ぎの感じはあるっちゃけど、一応期待どおりの逸品が、見事おれの目に止まったと☀

 

「うわっち……これよかやねぇ☀」

 

 おれのお眼鏡に叶った剣は、確かに名匠の誉れとは程遠いシロモンやったたい✌ それに見た目にも、いったいどこの誰が鍛えたものやら? 皆目わからん危うさがあったと☠ しかも柄の部分には装飾みたいな気の利いたモンがカケラものうて、味も素っ気も無い無地なものやったっちゃね☠ おまけに備え付けである鞘までが、安モンの牛皮製やったと☁

 

 それでもおれは、気に入ったっちゃね☆

 

 理由は剣身がおれば呼ぶっちゅうか――もともと口のヘタなおれに、万人ば納得させるような言い訳なんち、できるわけがなか✄ だけどとにかくやった☀ その剣の柄ば握った瞬間、なんとなくやけど、体がなじむっちゅうか✐

 

 ついでに――我ながら情けないのは承知でほんとんこつ言うっちゃけど、提示されちょう売価が、今のおれでも充分に手の届く範囲内にあったもんやけねぇ✌♪

 

 それはともかく、これでもおれは、いっぺんこうっち決めたらあとには引かん性格やけ☞ もっともこれくらいのことで止めてくれる人なんち、ひとりもおらんっち思うっちゃけどね☻

 

「親父、これに決めた☆ この剣ばちょうだい♥」

 

「……これをですかぁ?」

 

 予想ばしちょったとおり、刀剣屋の親父の対応っぷりは、とても野暮ったいもんやった♨ きっとこんおれがほんなこつ剣ば買うのかどうか、疑っとんやろうねぇ♨

 

 ところがおれが、なけなしやった金貨二枚ば差し出したら、親父の態度がコロッと変わったっちゃねぇ☠ まあ、多少の改善程度なんやけど✄

 

「まあ、ありがとうっちゃね⛑ せいぜい大事にしちゃってや⛐」

 

 やっぱ親父ん野郎は、こんおれば見下しよったっちゃね♨


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