『剣遊記 邂逅編T』 第一章 出逢い……そして永遠に。 (28) 「いっしょに行こっか✈」
おれが彼女にそう言ったんは、山ば下りてから、里へと向かう途中の道やった☀
もう辺りがすっかり暗ろうなった下山道⛅ 今でも唯一の明かりである月光の下、魔術師の彼女は、おれに真ん丸の瞳ば向けちょった⚇
「……それっち……どげんこと?」
彼女は不思議そうに尋ね返すだけやった⚉ おれは初めは明快に、そげな彼女の問いに答えるつもりやった♥
「……ど、どげんことっち……☁」
そんはずやったとに、いざとなるとなんか、急に口がうまく動かんおれやった⚖
「そ、それはやねぇ……☁」
「ずっといっしょにおってほしいってこと?」
おれが言いたかったこつ、彼女が先に、しかもズバリと言い当ててくれたっちゃね☻
わかっちょうなら訊き返すんやなか――っち返したいとこっちゃけど、今はもう、腹が立つ野暮なんち、いっちょも起こらんかったけ☺
で、おれは少々ぎこちないながらも、言葉ば続けてやったと☞
「そ、そう……これから先んことなんち、いっちょも決まっとらんとやけど、おれと旅せんね?」
「わたしからもお願いさせて! ずっといっしょにおらせて☆」
やっぱしっちゅうべきなんやろっか★ 彼女はでたん積極的やった☘ いやむしろ、おれが考えちょった以上にやね☺
きょう初めて出逢って、まだたったの一日だけの付き合いやっちゅうのに、もうこげな気持ちにまでなれるなんち……☀
「まだ恩返しば終わっちょらんのやけ、わたしんほうこそいっしょにおるんば頼むべきっちゃよ✌」
「恩返しけぇ……☺」
あれだけの助けばしてくれとって、それでもまだまだやっち言い張るんやったら、おれかて返す言葉があるっちゃね☞
もう戦士のプライドなんち、どげんでもよか!
「お、恩返しするんはおれんほうばい! だって……命ば助けてくれたんやけ✌」
すると彼女は即行で、頭ば横に振ってくれたっちゃね☺
「それは違うと✌ だってあれって、わたしにとっては当たり前んことなんやけ✌ それよかわたしは、もっと大きいことがしたいと☀ 戦士であるあなたば、これからも助けてあげたいとよ☆」
「それって……おれば見くびっちょうことにならんね?」
「なんいじけたこつ言いよっと♨」
「なんね♨」
ここでしばし、意地と意地とのぶつかり合い☻ やけども口ゲンカはすぐに、見つめ合いへと転化したっちゃね♡
「ぷっ♡ きゃははははっ♡」
「あははははははっ♡」
お互い笑顔に変わるまで、時間なんかはいっちょも要らんかったばい☺
「もうええっちゃね♡ こげんなったらどっちが先に恩返しすっか、競争ばい♡」
「わたし、絶対負けんとやけ♡」
いつん間にやら、おれたちゃ気の合う同士やったっちゃ♡
おれも彼女も、もうわかっちょった✌ 恩返しそのものかて、もうどげんでもええような気になっちょることを✊ それよか決まったことは、このままいっしょに旅に出ること✈⛴ そげんなったらどうしても、早めに解決しとかんといけんことが、ひとつ✐ おれはそれば、彼女に訊いてみたっちゃ⛳
「そげん言うたら……君ん名前ば……まだ教えてもらってなかっちゃねぇ☺」
彼女もこれに、応じてくれた✋
「わたしもまだ、教えてもらってなかっちゃよ☺ あなたのお名前は?☺」
お互いありふれた名前同士やった✍
とりあえずこれからふたりで、職探しから始めるとするっちゃね☺ (C)2014 Tetsuo Matsumoto, All Rights Reserved. |