『剣遊記 邂逅編T』 第一章 出逢い……そして永遠に。 (27) ドッボォーーン バッシャアーーンと、先陣の連中がドンドン川に落ちる真上やった⛲ おれだけはなぜか、宙に浮いたまんま⛱ 冷たい水の洗礼ば受ける気配が、いっちょもなかったと⛴
「うわっち?」
一時は土佐衛門の覚悟までしたこんおれやけど、さすがにこれは変っちゃよ――っち思うもんやった⚠
で、空中(?)で恐る恐る目ば開いてみたら――そこでおれは気づいたわけなんやけど、おれは水面ば頭ん上にして――つまり橋と川の中間くらいの空中で、ポッカリと逆様になって浮かんどったわけたいね☀
しかもよう見れば、おれの頭上――要するに真下では、先に川に落っこちた中年戦士や山賊たちが溺れよったと♋ おまけで言えば、あのヘカトンケイレスも、カナヅチであったわけ☻
腕が二十本近くもあるくせに☠ ついでやけどとうとう、登場意義がわからんまんまやった☋☊
「大丈夫け?」
そんな半分呆然自失気味になっとうこんおれの耳に、明るい声が聞こえてきたっちゃ☎ 言うまでもなく、魔術師の彼女なんやけどね☏
「……大丈夫……みたいっちゃね♡」
目に写る彼女の体勢は、逆立ちの格好――もとい、おれんほうが天地逆様やったっちゃね☝☟
「良かったぁ♡ 『浮遊』ん術が間に合{お}うて♡ だって、確かにわたしが怒れっち言うたっちゃけど、あなたがここまで無茶ばやらかすなんち、いっちょも思わんかったもんやけねぇ♥」
そげな風に言うてくれる彼女の顔は、心配と呆れ――さらに安心感がゴッチャになっとうようなモンやった☯ やけど成り行きはともかく、おれは今度こそ彼女に助けられたわけっちゃね✌
先におれが『使える魔術があるやろ☞』なんち言うたんは、彼女は魔術師やけん、今みたいな宙に浮く魔術で橋がこわれたかてすぐに逃げられるっち思うとったからやった☹ やけど……彼女はそん魔術で、おれまで宙に浮かせてくれたっちゅうわけばい♡♥
それからおれは、もう一回下んほうば覗いてみたと☊ 川ん深さはけっこう有りそうっちゃけど、その流れ自体は、大したことなさそうやった♣ やけん中年戦士ば始め、川に落ちた連中全員、ほうほうの体で川岸のほうに泳ぎよったっちゃ♑ 最初溺れとうように見えたんは、さすがにビックリして、パニックにでもなっとった――っちゅうことやろっか☻
で、こいつらのその後は――もう知らん✄ まあたぶん、戦意もなんも全部のうならかしてしもうて、この場で解散っちゅうとこやろうねぇ✈
彼らはともかく、カナヅチのおれかて水に落ちたらたぶん、みんなと同じでアップアップの憂き目ば見たはずっちゃろうけねぇ☢ これやったらほんなこつ、本格的な水泳の修行もせんといけんちゃね☺ それば考えたら、彼女はやっぱし恩人っち言うてもええかもしれんちゃね☺ これに『命の』を付けられるかどうかは、でたん微妙なとこなんやけどね☻ (C)2014 Tetsuo Matsumoto, All Rights Reserved. |