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『剣遊記 邂逅編T』

第一章  出逢い……そして永遠に。

     (25)

 ついでに酒屋でしばかれた恨みかて、決して忘れたわけやなか☠ さらに少々めばえた憧れ感ば、思いっきり裏切られた気持ちさえ、こんときのおれにはあったと☠

 

 この思いは、魔術師の彼女も同様みたいやった☢

 

「なしてこげん馬鹿にされようっちゅうのに黙っちょうわけぇ? ほんなこつ男やったら、ここで怒らんと駄目ってもんやなかぁーーっ!」

 

 てな調子でね♋ ある意味こちらのほうが、おれよかずっと過激やったりして☠

 

 おれと彼女はどうやら、こんときから同じ似た者同士っちゅうことやったわけ☻ その彼女が、さらに言うてくれたっちゃけ♋

 

「もう、ここにおるんはあなたの敵ばっかしばい! ほんなこつどげんするつもりねぇ!」

 

「どげんもこげんもぉ……☁」

 

 もはや完全、彼女から言われる一方のおれ☹ そんためかどうかわからんとやけど、おれは今握っちょう、きょう買ったばっかしの愛剣ば、いつしか無意識的に大きゅう上段に振り上げちょった☝

 

「おっ? なんのつもりけ?」

 

 おれの正気とは思えん行動っぷりば眺めちょった山賊親分が、それでもなお舐めきった口振りで、おれに顔ば向けてくれたと♐

 

 これは中年戦士もおんなじやったばい⛔

 

「なん考えよんのか知らんちゃが、おまえんごときが山賊に勝てるわけなかろうも☠」

 

 つまりは初めっからいっちょも、おれにはなんも期待しちょらんやったわけ♨

 

 そげなふたり――いいや、この場におるモン全員に響き渡るよう、おれは大声で叫んでやったと✈

 

「こげんこつやるとたぁーーい! おまえらみんな、地獄に道連れっちゃあーーっ!」

 

 それからおれは、魔術師の彼女だけに、こそっとささやいてやったっちゃ✆

 

「君が魔術師やなかったら、おれかてここまでできんとやけね✐ こげなときに使える術があるやろ✌」


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