『剣遊記 邂逅編T』 第一章 出逢い……そして永遠に。 (23) 「盗んだモン?」
今のセリフは、親分が口から出した単語に、おれが思わず疑問符ば付けたもの☣
「なんすか、それって?」
なんだか変になってきた話の成り行きに、おれは不審の眼差しば、中年戦士たちへと向けてやったと♾ もちろん当の戦士はおれに構っちょう場合やないらしゅうて、悔しそうに歯ぎしりばっかしやりよるけねぇ☠
「けっ! 高が隠し持っちょう財宝ばほんのちょっともらった程度で、大袈裟に追ってきてからにぃ! おまえら他にも、いろんな所から盗んだ宝が残っちょろうがぁ!」
「財宝ばもろうたぁ?」
これではますます、話がわからんようなってしもうばかりったい♺ やけどおれが理解しようとしまいと、当事者同士では勝手に話が進んじょった♨
「ふん! なんと言おうが、山賊の上前ば撥ねるなんち、ふてえ野郎やのう♨ おのれらわしら以上の悪党じゃあ☢☠」
「どうせおまえらかて、自分たちで使い切れんぐれえの小金ば貯め込んじょるくせに、ちょっとくらいケチケチすんやなかぁ!」
「ねえ、ちょっとぉ……☁」
山賊親分と中年戦士のふたりが、ようわからん応酬ば繰り返しちょう中やった⛐ 魔術師の彼女がおれに、そっと左から耳打ちしてくれたと⛄
おれはすぐに振り向いたっちゃ⛑
「なんね?」
彼女は声ば小さめに言うてくれたと✑
「わたし、なんか思うっちゃけどぉ……話がなんかすっごう低次元な気がしてきたっちゃねぇ……わたしたちってなんか、どげんでもよかみたいな争いに巻き込まれとんやなかろっか?」
「…………」
おれは即答できんかったっちゃ✄ 確かに彼女の言うとおりのような気がするもんやけ✈ おれはしばし返事ばためらったとやが、それと同時、だんだんと腹も立ってきたっちゃねぇ♨ つまり中年戦士は山賊の財宝を――ハゲ親分の言い分が、たぶん真実なんやろうねぇ✍ とにかくネコババしただけっちゅうことけ⛹ まあ山賊かて、人には自慢できんような非道な方法で、宝ば集めたんやろうけどねぇ☠
「おれも……そげな気がしてきたっちゃねぇ✄ この中年野郎、けっこうカッコよか人っち思いよったら、ほんとはセコい野郎やったっちゅうことやね☢」
おれは頭から、ほんなこつ湯気が昇るような気がしてきたっちゃ♨
そんときやった⚇
「おい、そこのオカマ野郎!」
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