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『剣遊記 邂逅編T』

第一章  出逢い……そして永遠に。

     (21)

 走るともなれば自慢やなかけど、おれには若さっちゅうもんがあった♡

 

 すぐに先行しとった中年戦士と盗賊(やろっか?)のコンビんとこまで追い着いて、いっしょになって逃げまくったっちゃ✈

 

「むぁてぇーーっ!」

 

 それをあとから、山賊どもも走ってきたっちゃ☠ ヘカトンケイレスも、その先頭になっとったばいね☢

 

 ほんなこつしつこい連中やった☹ もう月明かりしかない周辺は、かなり暗{くろ}うなっとうっちゅうのにねぇ☻

 

 ところが走っちょううちに、山道はいつん間にか、やたら広う開けてきたっちゃ★ しかも月明かりん下、森林ば抜けてしもうたら、目の前にでっかい渓谷が待ち構えちょった☆ そやけどこれで、行き止まりっちゅうわけでもなし☘ 谷にはほんなこつ頼りなさそうなんやけど、一応木製の吊り橋が架けられちょったと⛴

 

 どこのどなた様か存じませんとやけど、こげな山ん中に橋ば架けてくれた先人たちのたゆまぬ努力に、感謝感謝っちゅうところやねぇ☺

 

 でもってこげんなったらもう、とにかく先に谷ば越え、それから橋ば吊っちょうロープば切って谷底に落としてしもうたら、見事山賊やヘカトンケイレスどもの追跡から逃れられる――っちゅうわけ♡♥

 

 そげん風に単純に考え、おれと彼女は中年戦士たちといっしょに橋ば渡って、やっと中間まで達したときやった✄

 

「ぐへへっ♥ はさみ撃ちやのう☻☻」

 

「うわっち! いつん間にぃ!?」

 

 吊り橋の先にはなんと、山賊の仲間が五、六人、ニヤニヤしながらおれたちば待ち構えちょったと☠


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