『剣遊記 邂逅編T』 第一章 出逢い……そして永遠に。 (19) 「あんやとぉ!」
当然ながらその他大勢――つまり戦士のおっさんはおろか、山賊どもまでが、このおれたちに注目してくれたと☠
「うわっちぃ〜〜☁☁☁」
非常に気まずい状況になって、おれは渋い思いになっちまったけねぇ☹ でも、こうまではっきり大きい声ばかけられたら、もう無視なんかできんもんちゃけ☢ おまけにこれやと、山賊どもからこいつも敵やっち、誤解っちゅうか認識されてしもうたっちゃね☠
「ん? 貴様は?」
戦闘中でありながら、中年戦士がおれに目ぇ向けてくれたっちゃけ☛ そげな余裕があるとはこんおっさん、なかなかの実力がありそうっちゃねぇ♠♦ これはもしかして、昼間はしばかれただけで済んだんは、実はでたんラッキーやったんかも★
「俺にコーヒーばブッかけた、女みてえな若造やないけ! あれほど痛めつけたにしちゃあ、けっこうピンピンしちょうようやが、おまえもなかなか頑丈っちゅうことやな☆ で、ここになんしに来た?」
この野郎っ! 嫌な感じでおれん顔ば覚えちょんやねぇ♨ ついでに言うちゃれば(ほんとは怖くて言えんけど☠)、おればボコボコにしたんは本当は、魔術師の幻覚魔術やっちゅうこつ、実はいっちょもわかっちょらんとやねぇ☻ たぶんケンカの途中で、おれが中途退場したっちゅう認識なんやろっか?
要するにこのおっさん、肝心な所で抜けちょんばい♪
まあ、それはよか☻ それよかこげな腹ん立つ野郎でも同業の義理、助太刀せんといけんとやろっか?
その答えに迷ったまま、おれは文句のほうば先行させたっちゃ☹
「『なんしに来た』はなかろうもぉ! それが助っ人に言うセリフけぇ!」
おれの怒鳴り声は予測どおり、鼻で笑われたけねぇ♨
「ふん☻ さっきの仇ば恩で返すっちゅうつもりけぇ☠ つまらん☠ それよか自分の身のほうば心配しときや✄」
「うわっち! こん野郎ぉ〜〜♨♨」
おれの頭に、沸騰した血液が上昇してしもうたけね♨ やけど、おっさんの言うた『心配しときや✂』は、本当の意味でのことやったと♋
「うしろっ!」
「うわっち!」
彼女の叫び声がなかったら、おれはほんなこつ、背後から袈裟がけに斬られたところやった♋ それはおれば敵っち決め込んだらしか山賊のひとりが、斧ば振り上げて斬りかかろうとしていたからやったけ☠
やけど、気づきさえすれば、こっちのモンたい☆
「うわっち! しゃーーしぃったぁい!」
おれはいかにもな雄叫びば上げ、余裕で重たい斧の一撃ばかわしてやった。すぐにおれを外した山賊の斧が、勢い余ってズボッと、地面に深々と突き刺さったっちゃ。
斧とか棍棒なんかの打撃系の武器っちゅうもんは、その初めの攻撃さえやり過ごせば、あとは赤子ん手ばひねるようなもんやけねぇ☀ やけんおれはすぐさま鞘から剣ば抜いて、重い斧を地面から抜こうっちしよう山賊の両足の脛{すね}に、峰打ちでバチンと斬りつけてやったっちゃね☆☆
「ぎょえーーっ!」
もとより致命傷なんか、与える気はなかっちゃけ♡ それに相手は悪党どもとはいえ、こげな医者がおらんような山ん奥で深手ば負わせてしもうたら、それはそれで非道な振る舞いになるとやけねぇ☢
「ビービー泣くんやなか!」
それでもおれは、山賊に情けばかけんかったっちゃ☺ あとのかすり傷の処置くらい、自業自得なんやけ自分で勝手にしや――ってな感じでもってやね♥
おまけにこげんなってしもうたら、もう乗りかかった船っちゅうもんばい♪
「もうヤケクソっちゃあーーっ! ほんなこつ助太刀してやるったぁーーい!」
これはセリフどおり、ほんなこつヤケクソやったと☠♐ おれは剣ば振り回しながら、戦闘の真っ只中に飛び込んだ……っちゅうわけったい☢ (C)2014 Tetsuo Matsumoto, All Rights Reserved. |