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『剣遊記 邂逅編T』

第一章  出逢い……そして永遠に。

     (18)

「うわっち?」

 

 初めは戦士のほうばっかし目ぇ向けとったんで、いっちょも気ぃつかんかった♋ でもよう見れば、戦闘現場から少しばかし離れた所に、もうひとりの男がおったと☞ ただしそのまったくふつうそうな身なり(まあ一般市民風やね)を見るからに、そいつは山賊じゃあなさそうやったね☻ それでもだいたいどげな人物か、大方わかるような気がしたっちゃね✌ やけんおれは、彼女に向いて言うてやったと。別に訊かれたわけでもなかっちゃけどね✍

 

「あそこに立っとうおっさん、たぶんおればしばいた中年の仲間やろうねぇ☛ なんかさっきから、おっさんの応援ばしようみたいやけ♪ 大方盗賊稼業って感じばいね☻ 証拠はなかけど☁ まあ戦士と盗賊がコンビば組んでの旅ガラスっち、ようある話やけねぇ✍」

 

「そげん風に言われたら……酒屋にもおったような気がするっちゃね☞」

 

 彼女も一応知っちょうようやった☝ おれは中年戦士の顔しか見とらんかったけ、そんときはそこまで気が回らんかったと☁ でも確かに戦士のテーブルには、他にも何人かおったはずっちゃね♐

 

 まあたぶん、初めに言うた戦士と盗賊の、ようあるコンビっちゃろうねぇ✍ 応援ばしながら盗賊(かもしれん男)は、戦闘を完全に戦士のほうに任せっきりで、自分は傍観ば決め込んじょるようやけ♠ これば好意的に解釈すれば、それだけ戦士の腕ば信頼しちょるっちことやろねぇ✌

 

 もっとも仲間がいようがいまいが、どげんやっちゅうわけでもなか✄ 大事なんは今戦闘中の戦士のおっさんが、きょうおればしばいてくれたばっかしの野郎っちゅうことたい♨ そうやきそいつの助太刀ばせにゃならん義理なんち、今のおれにはいっちょもなかと☠ やけんおれは、すぐ前向きに考えたったい★

 

「行こっか✈ おれたちにゃいっちょも関係なさそうやしねぇ♠」

 

「え〜〜、行っちゃうとぉ?」

 

 もろに不満そうな顔になった彼女にそげん言うて、おれは原っぱに背中ば向けたったい⛴ すぐにこん場から立ち去るつもりでやね✐ そやけどやっぱし、そうは問屋が卸してくれんかったと☠

 

「あっ! そこの通りすがりの方! 見てたんやったらぜひ、加勢ば頼みたいとですがぁ!」

 

「うわっち!」

 

 無関係ば決め込んじょったこんおれを、盗賊(と思う男――もうええわ✄ 本人がそうやっち言いようわけやないけど✌)の野郎が目ざとく見つけてくれたっちゃねぇ☠


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