前のページへ     トップに戻る     次のページへ


『剣遊記 邂逅編T』

第一章  出逢い……そして永遠に。

     (17)

 音が聞こえた現場に到着したっちゃ☞

 

 そこではなんと、剣と剣――ついでにその他の刃物によるカキィーーン カァーーンっちゅう感じの、火花の散らし合いがありよったと♋ それもけっこう広か原っぱのド真ん中♺ 少しボロそうやけど、金属製の鎧ば着た戦士がひとりと、親分らしかハゲたおっさんにけしかけられちょる、十数人ほどの無頼漢どもが、大層なチャンバラば繰り広げの真っ最中しよったと✊✋

 

「たったひとりの野郎に、いつまでビビっとうとや! 早よしゃんしゃんと片付けんねぇ!」

 

 きっとこいつら、山賊なんやろうねぇ☛ まあ状況からして戦いの始まり方が、だいたい想像できるっちゅうもんやね✍ 大方旅の戦士に山賊どもが数を頼みにして、チョッカイでもかけたんやろ✄

 

 でも両者ともに、戦闘に無我夢中のご様子✄ あとから野次馬みたいに駆けつけたおれと女魔術師には、てんで気づいてくれん感じやった⛔ その女魔術師が戦士のほうば右手で指差して、おれに言うてくれたっちゃ⚠

 

「見てんあん人……☜」

 

「あん人がどげんかしたと?」

 

 初めは言いよう意味が、おれにはまるっきしわからんかった⛐ もしかすると彼女は、人の理解なんかまるでお構いなし。ひとりで先走る癖でもあるとやろっか?

 

 それはとにかく、彼女の瞳は真剣やったと♐

 

「あん人……きょうのお昼に、あなたばしばいた戦士のおじさんばい! もう忘れたと?」

 

「うわっち……思い出したっちゃ!」

 

 言われて気がつくんも我ながら情けないっちゃが、おれの記憶は作動がでたん遅いとやけ、これはこれで仕方なかろうも☁ でもそう言うたら、食堂では革の鎧やったけど、今は金属製なんち着ちょるもんやけねぇ☞ そやけどおればボコボコにしてくれた相手の顔がすぐに出んなんち、やっぱ物覚えが悪過ぎるっちゃねぇ……☠

 

 おっとそれよか、きょうおればしばいてくれたばっかしの中年戦士さんが、こげな場所で山賊どもとなにやらドンパチやらかしちょうのは、これはこれで意外な話の展開やねぇ♋

 

 あんとき彼女から変な魔術ばかけられたあと、中年戦士さんがどげんなったかは、おれは知らんちゃね✄ まあふつうに考えれば、たぶん魔術が解けたあとでおれがおらんことがわかり、さっさと店ば出たっちゃろうねぇ⛍ 激怒のままにおればしばきよったつもりやったんやろうけど、気ぃついたらひとりで勝手に暴れよっただけ⛏ これってきっと、でたん体裁悪うなったっち思うっちゃけ♐

 

 それから運悪く、山賊どもと遭遇したんやろうねぇ☠


前のページへ     トップに戻る     次のページへ


(C)2014 Tetsuo Matsumoto, All Rights Reserved.

 

inserted by FC2 system