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『剣遊記 邂逅編T』

第一章  出逢い……そして永遠に。

     (12)

「とうとうここまで来ちゃったばいねぇ……☁」

 

「もっちろん♡ あなたに恩返しばするまでやね♡」

 

 街に着いたおれはすぐに昼食ば求めて、手頃な食堂兼酒屋に足ば入れた☞ 魔術師の彼女も、しっかりと引き連れた格好でやね♾

 

 で、彼女の食欲の凄かこと! 失礼ながら体格は、まったくふつうの女ん子やのに、食べるだけなら立派にいっちょ前――いんや三人前やったりして☠ とにかく注文ばして出てきた料理を、それこそ片っぱしから綺麗に平らげてくれるもんちゃねぇ☠♋

 

 それもおれの勘定で♨

 

「で、どげな恩返しばしてくれるっちゃ?」

 

 ヤケクソで頼んだブラックコーヒーを飲みながら、おれは同じテーブルにいる彼女に訊いてみたと⚆⚈ 我ながら空しい質問ちゃねぇ――と思いつつやね☻ そしたら彼女、スパゲッティを食べる手ば止めて、一応真剣そうな顔付きになってやねぇ、考える素振りばしてくれたったい⛇

 

「……そうっちゃねぇ……✍」

 

 おれの問い掛けに、彼女は小{ちい}そう首ば傾げよっと⚩ 右側に☛ やけどこん仕草が意味するモンは、ほんなこつ大したことなかったっちゃね♋

 

「まだ考えてなかと✌ まあ時間ばかけて、ゆっくり実行すれば良かっちゃね✍」

 

「そげん感じっち思いよったっちゃね✄ 要するに初めっからなんも考えちょらんかったんやなか? 見ればやりようことは、どげん見たかて行き当たりバッタリやし☠」

 

 大方の予想どおりやったんやけど、こんときのこのおれは、かなりに立腹ばしよったと♨

 

 ところが彼女んほうも、ほんなこつ肝が据わっちょったんやねぇ☹ おれが真正面から顔ば寄せたかて、ニコニコっちした笑みば返すばっかしなんやけ☢

 

「まあ、まだ先は長いっちゃけ、そげん慌てんでもよかやない♡ こげなことはゆっくり考えるもんやけね♡」

 

「おまえに言われとうなか♨」

 

 腹が立ったついでっちゃ★ おれはカップのコーヒーば一気に飲み干したと――けど、これがいけんかったっちゃけ☠

 

「ぶうううううううううっ!」

 

 若輩の身には、思いっきり濃いブラックコーヒーのカフェインが、強烈過ぎたみたいっちゃ☢

 

 おれはたまらんで、口に含んだコーヒーば噴き出したったい☠

 

 胃袋がビックリして、先に食べたモンば逆噴射させる前にやねぇ☢

 

 やきー、場所柄なんぞ、わきまえる余裕すらなかったと☠

 

「うわあっ! なんじゃーーっ!」

 

 隣りのテーブルで酒ば飲みよった同業者――つまり戦士らしか中年男の背中に、おれは噴き出したコーヒーば、まともにブッかけてしもうたっちゃね☠

 

「うわっち!」

 

 これはおれがしでかした不始末とはいえ、最大最悪の大失態になったわけっちゃねぇ☠☠ で、当然中年戦士のおっさん、超激怒のしまくりやったっちゃ♋

 

「てめえかぁーーっ! 俺に臭せえもんばブッかけたんはぁーーっ!」

 

「うわっち! ごめんなさぁーーい!」

 

 けっきょく有無ば言わせんで、唐突に拳骨で殴りかかられたと♋ 一応右で☛☛ これやとおれがいくら両手のシワとシワば合わせたかて、もはやまったくの後の祭りやったばい☠☂


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