『剣遊記V』 第四章 大捜査戦開幕! (14) 衛兵隊も事が起こるまで、隊の本部で待機をしていた。しかしここでも手筈どおり、青いコスモスから声が発せられたのだろう。ただちに総力を上げての出動と相成ったわけなのだ。
駆けつけた衛兵の顔ぶれの中に、もちろん砂津と井堀もいた。
「隊長も初めっから、魔術師の力ば借りれば良かったっちゃね☠ そげんすりゃ犯人かてすぐ捕まって、おれたちが無駄な苦労ばせんで済んだっちゃのにねぇ☠」
場所柄もわきまえず、井堀が早速で愚痴を漏らしていた。孝治はそれを、まあまあとなだめてやった。
「そげん言うもんじゃなかっちゃよ☀ 仮にもおまえの隊長さんやろうも☻ それにあの隊長さん、石頭かっち思うちょったけど、あれでけっこう合理的な面もあるみたいやけ、次からは率先して魔術の力ば借りるようになるっち、おれは思うっちゃけどねぇ♐」
「おれもそげん思う✍」
あの日の同席者である秀正も、孝治のセリフにうなずいていた。
「……それもそうちゃねぇ✎」
井堀も孝治の言葉にうなずいてくれた。そのついで――なのであろうか。
「うわっち!」
ここで隙を見せた孝治のお尻に、井堀が右手でポンと、素早く接触もしてくれた。
「おめえらの力もたびたび借りるっち思うけ、そんときはよろしゅう頼むけね♡」
ぬけぬけとほざいてくれる井堀に、孝治は正面から飛びかかった。
「てめぇーーっ! この場に及んでもスケベば忘れんのけぇーーっ!」
「まあまあ、今は戦いの前の余興なんやけ、勘弁したれや♪」
「そうそう☝」
そんな孝治を秀正と砂津が、ふたり掛かりで苦笑を浮かべながらの羽交い絞めで抑えてくれた。 (C)2011 Tetsuo Matsumoto, All Rights Reserved. |