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『剣遊記 番外編X』

第四章 超獣対怪獣、大阪湾大決闘!

     (8)

 一方で、思わぬ反撃を喰らったガストロキングの側。

 

「うおのれぇ! ようもやってくれはったもんやなぁ♨♨」

 

 ミサイルの連続爆発に巻き込まれ、全身真っ黒コゲ。頭も天然チリチリアフロヘアー――いわゆる『ひとりドリフ』状態になりながらも、尾田岩自身は、いまだに健在。やはり悪は、相当にしつこい性質なのだ。

 

 ついでに創造主と同様。グギャオオオオオオオオオオオオオン!――と、ガストロキングも怒りの感情をあらわにして、巨大な体格をブルンブルンと震わせた。

 

 その腹いせ行為なのか。自分の眼に写っているらしい建物群を手当たりしだい、片っ端から滅茶苦茶に叩き壊す猛り狂いぶりも、大いに発揮した。

 

 もはや敵超獣――バルキムの存在など、まるで眼中の外にあるかのよう。これにはさすがにビビった模様。尾田岩自身が、大怪獣を諌めるような態度に出た。

 

「ガストロキングよ血迷うんやないでぇ! 敵はあんさんの眼の前におるさかいになぁ♋」

 

 グギャ?

 

 どうやら尾田岩の声が、耳に入ったようである(肩に近い所に、ガストロキングの耳があるらしい)、大怪獣がクルリと、視線のやり場を転換した。その目線の先に立つ者は、自分と激闘を続けている、超獣のバルキム!

 

「そうや、ガストロキングよぉ! 早いとこバルキムを倒すんやぁ! 頼むで、ほんまぁ〜〜大丈夫かいな☠」

 

 ところがバルキムからの攻撃を喰らった失敗で、尾田岩の心境にも、なんだかあせりの渦が生じているようだ。

 

 なんと言っても超獣を創造し、なおかつミサイルのような隠し武器を与えた者は誰あろう、尾田岩自身に他ならないのだ。従ってこれ以上、敵ども(荒生田たち)からバルキムの新しい能力を発見される前に、なんとしてでも倒さなければならない。敵に時間を与えれば、おのれ自身が命取りとなる状況なのだ。

 

「行くんやぁ! ガストロキングぅーーっ!」

 

 グギャアアアアアアアアアッ! そんな創造主――尾田岩の(半分ヤケクソ的な)雄叫びに呼応。大怪獣が超獣目がけて、再び突進を開始した。


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