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『剣遊記 番外編X』

第四章 超獣対怪獣、大阪湾大決闘!

     (7)

 そのバルキムの大口――金属的な魚類型で鳥のくちばし似――のノドの奥からシュババババババババババッと、飛び出したモノ。

 

 火炎放射などではなく、何十本もの円筒形の棒の束だった。ちなみに棒の先端は尖って、全体が赤い色をしていた。

 

「ゆおーーっし! なんじゃありゃあ!」

 

「ぼくにもわかりましぇ〜〜ん☂」

 

 これにはむしろ、荒生田と裕志のほうが驚いた格好。ここでなぜか、到津が解説をしてくれた。

 

「あれはきと、『ミサイル』言うモノあるね✍ ワタシ昔、西洋の人にそな話、聞いた覚えあっちょるけん✎」

 

「意外に顔が広いドラゴンなんさねぇ☞☜」

 

 静香も到津の博識に、大いに感心の顔となっていた。

 

 この辺のノンビリムードは脇に置く。それよりも地上のほうは、これにて一層の混戦模様だった。

 

 バルキムの口内から発射されたミサイルとやら。その内の何発かが、もろガストロキングの顔面にズガガアアアアアアアン! チュドドドドドオオオオオン!――と命中したのだ。

 

 これで多少ではあるが、ガストロキングの足がよろめいた。ただ残りの何十発が流れ弾となって、今度は周りの建物にも降り注いだわけ。

 

 バッガアアアアアン! グワッシャアアアアアアン! ズドドドドオオオオン! とにかく大破壊の繰り返し。神戸市に林立する建造物に、かなりの高い率で重大なる損害が発生。被害がさらに広がる事態となった。

 

「せ、先輩……☠」

 

 この惨状を眼下にして、裕志は自分の顔色が、さらに青味を増す状態を自覚した。

 

「こ、これってぇ……ぼくたちにそのぉ……賠償責任ができるんでしょうかぁ……もしそげんなったとしたら……一生かかっても払えましぇんばぁい……☠」

 

 しかしそれでも、荒生田のツラの皮は、頑丈極まるシロモノでいた。

 

「しゃーーしぃーーったい! 正義に多少の犠牲は、昔っから付きモンなんやけねぇ✌ よう伝説にある正義の巨人かて、悪い怪物なんかと戦うときは不可抗力で、民家っとかたくさん踏み潰したりしよんやけぇ! やけんオレたちかて、おんなじ特権ば持っとんやけねぇ✌♪」

 

「そ、そげなもんですけぇ?」

 

 荒生田先輩がほざくところの正義とやらに、ますますの疑問をふくらませる裕志であった。


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