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『剣遊記 番外編X』

第四章 超獣対怪獣、大阪湾大決闘!

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 グギャオオオオオオオオオオン! 直訳すれば、『この野郎ぉ! 逃げんやないでぇ!』と言ったところであろうか。完全に野生の本能に立ち返っている大怪獣が、逃げる超獣を(立ち泳ぎで)追い駆けた。

 

 しかしバルキムは、どんどんと自分から遠ざかって行くばかり。こちらも器用な立ち泳ぎを披露――それもなんだか、うしろ歩きに似た感じの格好でいた。

 

 よくよく考えてみたら、二頭は海上で戦い続けているわけだから、この間ずっと、両者ともに立ち泳ぎを続行していたのである。

 

 大阪湾は決して浅い海ではないはずなのに。

 

 それはとにかくとして、バルキムとガストロキングが、充分に距離を取ったところで――だった。

 

「ゆおーーっし! 今やあ! 発射ぁーーっ!」

 

「は、発射やそうです……☁」

 

 当の同人格者である裕志は、もはや脇役。外野の立場でいるはずの荒生田のほうが、ド派手でやかましく騒ぎ立てた。だけどバルキムが裕志だけではなく、サングラス😎戦士の言いなりである事実も、これはこれでずっと前から実証済み。荒生田の銅鑼声に、ビクッと反応したあとだった。バルキムが頭の角の先端を敵怪獣に向けるよう、前屈みの姿勢を取った。やはり立ち泳ぎをしながらで。

 

 それから本当に、バルキムの頭の角がバシューーッと、先ほどの口内から発射されたミサイルと同じように飛び出したのだ。

 

 そのミサイルがまっすぐ、ガストロキングの花型をしている腹部を目指し、真一文字にジェット噴射で飛んでいく!

 

 グギャアアアアアアアアッ!

 

「わわぁーーっ! もうあかぁーーん!」

 

 キマイラとその創造主が、ほぼ同時に悲鳴を上げた。

 

 その直後だった。頭部角ミサイルが、ガストロキングの腹部――花芯に命中!

 

 ドッグァガワアアアアアアアアアアン ガガガガガアアアアアアアアアアン

 

 続けざまに大爆発と大爆炎! 水柱が天まで届くほどの勢いで、大阪湾の中心部に巻き起こった。

 

 まさに威力たるや凄まじく、復讐魔術師尾田岩自慢のキマイラが、文字どおりの木っ端微塵。粉々の破片となって吹き飛んだ。

 

 しかもバラバラとなった肉片は、大阪湾全体に広く拡散。のちにあちこちで猛烈な腐敗の仕方をして、湾内を深刻に汚染しまくる結果となったわけ。


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