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『剣遊記 番外編X』

第四章 超獣対怪獣、大阪湾大決闘!

     (13)

 巨大な大波が、港湾の施設や倉庫群をドバドバドバァァァァァッと、あっと言う間に薙ぎ倒してしまった。

 

 だがそれでもなお、両者の激闘は終了しなかった。

 

 グギャオオオオオオオオオン!

 

 クァァァァァァァァァッ!

 

 これは一見端から見れば、戦意旺盛なガストロキングが、かなり弱気そうに見えるバルキムを、両腕の凶器で一方的タコ殴りにしているような感じ。それを空から見ている荒生田が、またもやいきなり、無謀な無茶をわめき出した。

 

「えーーい! 見ちゃおれんばい♨ 裕志ぃ☞ ええ加減ここらで決着ばつけぇ☞!」

 

 先ほど自分が指揮を取るとか言ったのは、いったいどこの誰だったのか。とにかくこれは、一種の責任転嫁であろう。

 

「ええっ! 決着ですけぇ!?」

 

 裕志は目が点の思い。

 

「で、でもぉ……どげんして決着ばつければよかとでしょうかぁ……?」

 

 裕志の疑問はもっともである。しかし事態のほうも、悪化の一途をたどる一方であった。

 

「ああん! 二匹とも大阪湾のド真ん中まで行きようさねぇ☟」

 

 静香が右手人差し指で差すとおり。二頭の巨大生物同士の戦いは、広い大阪湾の中央付近まで移動していた。しかも二頭とも水中順応能力が高いようで、水の中でも息ができるらしかった。おまけの魔術師――尾田岩も、いまだガストロキングの右肩にしがみ付いているまま。魔術で身を守っているようなので、こいつ自身はこれでも良いのかもしれない。しかしいい加減に現場から離れ、もっと安全な場所に移ってから怪獣をコントロールするべきだと、素人目で見て誰もがそのように発言したくなる状況でもあった。


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