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『剣遊記 番外編X』

第四章 超獣対怪獣、大阪湾大決闘!

     (11)

「えーーい! どくっちゃあ!」

 

 ここでついに業を煮やしたか、それとも堪忍袋の緒が切れたか(もともと短気だけど)。

 

「ぎゃふん!」

 

 荒生田が裕志を右足で蹴り倒し、いきなり無茶をわめき始めた。

 

「もうおまえにゃ任せられんけ! オレがバルキムの指揮ば直接取っちゃるけぇ!」

 

 これらの行動はすべて、せまい到津の背中の上での出来事。ヘタをすれば足がすべって、遥か大阪湾の海上まで真っ逆様の状況なのだ。

 

 無論サングラス野郎は、そのような些細な話(?)など、一切気にしない男である(だから怖い💀)。

 

「行くっちゃあ、バルキムぅーーっ! オレん言うとおりにしやぁーーっ!」

 

 これにバルキムが、クォン?――と振り向くすなおな態度。しかもこれは敵方――ガストロキングにとって、またとない攻撃のチャンスであった――はず。

 

 ところがこちらもこちらでグギャン?――などと、荒生田の銅鑼声に、すなおに反応していたのだ。

 

 これでは幸か不幸か。お互いまったく動きを封じられたも同然の事態。そんな中だった。荒生田の大妄言だけが、神戸市の市街地全体に轟き渡っていた。

 

 これもこれで大迷惑。

 

「よかやぁ、バルキムぅ! オレん言うとおりにしやぁ! この野郎、怪獣かかってこい! 最初はジャブだ! フックだボディだチンだ♪ おまけにライトだサードだアッパーだ♪ ちっくしょう一発やりやがったなぁ♨ 倍にして返すぜぇ✌ えーーい面倒だ、これでノックアウトやぁ!」

 

 はっきりと申して、メチャクチャな采配の振り方。この罵声に煽られてか、バルキムとガストロキングの戦い方までが、まるで子供同士の泣かし合いみたいなケンカとなっていた。

 

 つまりお互い両手を振り回すだけの、ポカポカ合戦。

 

 敵の魔術師――尾田岩も、額に汗を流してつぶやくのみ。

 

「う〜〜む、我れのライバルながら、恐ろしいやっちゃのぉ……♋」


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