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『剣遊記 番外編W』

第四章 たったふたりの大海戦。

     (16)

 このある意味滑稽なふたり(清美と徳力)の慌てぶりを、大豊場はボートの上から望遠鏡で、愉快そうに眺めていた。それから船長に命令。

 

「おい、あれば出しや☻」

 

「へい♪」

 

 こんなときのために準備していたわけでもないのだが、船長が用意していた拡声器(メガホン)を、大豊場に差し出した。

 

「わははははっ! ご苦労なことばいねぇ、本城清美よぉ!」

 

 海の上からわざわざ嫌がらせの大声を、清美と徳力のふたりに浴びせかけるために。

 

 これぞまさしく、余裕しゃくしゃくの塊。

 

「そん導火線には特別な薬品ば塗っちょうけ、どがん踏もうが水ばかけようが、絶対消せんようなっとうとばい☆ やけんそん船ばおまえらにくれてやるけん、あの世まで仲良う乗ってきやぁ☀☠」


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