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『剣遊記[』

第四章 見よ! 奇跡の大合体。

     (9)

 友美の推察どおり、フェニックスには涼子の姿は、見えていない様子だった。しかし、あるいは見えていても、わざと無視をしている可能性も、孝治は捨て切れなかった。

 

「ほんなこつ大丈夫やろっかねぇ……☁」

 

 それでもとにかく、幽霊の存在など、実際に関係なし。三枝子とフェニックスの対話は進んでいた。

 

 やがてフェニックスは、長い首を深くうつむかせた。それもなんだか、まるで本題をズラすかのような、朴訥{ぼくとつ}とした口調だった。

 

『人はうちんことば、どうやら神のように思うちょるっち聞いちょります✍』

 

 この言い方は三枝子にとって、とても意外だった。

 

「そ、それは……あなたはほんなこつ神様なんでしょ!」

 

 しかし一生懸命丸出しな三枝子の疑問には応えず、フェニックスはさらに、しかも独り言のようにつぶやき続けた。

 

『神ならば、人の心の内っちゅうもんがわかります✊ やけど、神ならぬ身のうちには、そぎゃん力はなかとです✄ やけんうちはあーたが真実ば言いよるんか、それとも偽りば言いよんのか、計り知ることができんとです⛐』

 

「あたし、嘘なんか言いよりましぇん!」

 

 三枝子はフェニックスに向けて叫び返した。


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