『剣遊記超現代編T』 第三章 愛(?)と野望(?)の協奏曲{コンチェルト}。 (8) 「あげなこと言いようっちゃけど、どげんする?」
ようやく瞳の前から立ち去ってくれている荒生田と中原と――ついでに牧山の背中を見つめ、治代が震える口調でささやいた。
「どげんする……たって、ねえ?」
孝乃も震える口調は同じだった。孝江はこうなったら頼れる者はひとりだけとばかり、ずっといっしょにいてくれている友美に訊いてみた。
「もしも……なんやけど、もしもこの話が本決まりでもなったらやっぱ、おれ……あたしたちって、ヌードばならんといけんとやろっか? まさか性転換したからっちゅうて、裸まで公開せんといけんなんち、夢にも思わんかったんやけどねぇ……♋」
「なに言ってんのよ、それって☻ まだ誰もはっきり、ヌードって言ってもないのに✄」
友美は軽く笑ってくれた。
「まあ、荒生田さんにはわたしから、『考えてみます✍』って、時間稼ぎをしとくから、中原さんがこの企画を忘れるまでの辛抱よ⛔ 実は本音で言えば、わたしもそんなに悪い話だとは思っていないんだけどね☀ これってうしろから話を聞いてて、だんだんとわたしの考えが変わってきたことなんだけどね☻」
「悪い話じゃないねぇ……とにかく決断が必要ってことっちゃね☃」
孝江も少しだけだが、やや前向きな気持ちになったりする。それは置いても写真集の話は、しばしの猶予期間が与えられた感じである。できればこのまま、立ち消えになってくれれば幸いなのだが。
「それはそうとして、涼子とアシスタントの連中、どこ行ったんだ?」
とりあえず気が落ち着いたところで、治花が会場内をキョロキョロと見回した。涼子とアシスタントの四人衆は、それぞれ勝手に、バイキング料理に舌鼓を打っているはずであるが。
いた。五人は元孝治たち四人と友美のいるテーブルから、少し離れた場所でバイキングに食らいついていた。 (C)2017 Tetsuo Matsumoto, All Rights Reserved. |