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『剣遊記 番外編X』

第二章 超獣使いとゴウマン男。

     (7)

 実際問題、山よりも大きな体のバルキムを、いったいどのようにして移動させれば良いものやら。いくら自分たちの命令に従順だからといって、それで簡単に片付くような軽い話ではなかった。

 

 だけどもこの世の中、むずかしいようでいて、けっこううまく行く話もあるもの。

 

「よかったのぉ♡ バルキムさ人目に付かんようにして、あたしたちさについて来らせる、ええ方法があってなんさねぇ☀✍」

 

「う、うん……☁」

 

 静香が溌剌とした声をかけ、裕志はそれに、頼りのなさそうな返事を戻していた。そんな風で現在、兵庫県内の街道を南下している面々は、荒生田たち四人だけの一行となっていた。

 

 山のように巨大極まるバルキムの姿は、この地上のどこにもなかった。

 

 それもそのはずである。

 

「ん……パルキムさん、今ワタシたちの、ちょうど真下にいるあるだわね☟」

 

 時々到津が地面にしゃがんで耳を付け、地下の振動を感じ取っていた。大超獣はその特別な能力を発揮して、地底深くを進攻中。地下から裕志や荒生田たちのあとに、のこのことついて来ているわけ。

 

 誰も地下の様子は見られないのだが、恐らくは頭のてっぺんにある大角と、トゲ付き棍棒のような両腕をフルに活用して、地底の大空洞を掘り進んでいるのだろう。いずれにしても、世間を騒がせずに巨大生物を楽に移動させられるのであるから、これはこれで大助かり――てなものである。

 

 時折地面がズズズッと、不気味な震動を繰り返す状態は、これぞバルキムが自分たちに従順について来ている合図のようなモノ――となっていた。いったいどのような超能力を駆使して、地上の荒生田たちを確認しているのか。これは皆目理由不明。バルキムが人間の言葉をしゃべれないので、誰にも真相はわからなかった。


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