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『剣遊記 番外編X』

第二章 超獣使いとゴウマン男。

     (6)

「は、はい……わかりました……☹」

 

 心底から観念をした気持ちになって、裕志はしょぼんと顔を下に向かせた。その様子を、今まで黙って眺めていただけの到津が、なにやら訳知り顔でつぶやいていた。

 

「ははぁ、荒生田さん考えてること、ワタシだいたいわかたのことあるだわね☆」

 

 これに静香が耳を傾けた。

 

「わかったって……なんがなん?」

 

 到津も特に焦らせる気はないようなので、ペラペラと静香に話してやっていた。

 

「はい、荒生田さん、裕志さん真ん中置いて、自分がパルキムさん、言うとりしよ思てるあるよ☛ ワタシ付き合いまた浅いけと、いつものパターンでよくわかるだったよ☺☻ こう言うては悪いけと裕志さん、荒生田さんの子分たからあるだわね♐」

 

「へぇ〜〜、そう言うことだら、まったくなんて傲慢な人だがね☢」

 

 幸いにしてこのふたり(到津と静香)のひそひそ話は、荒生田の耳まで届いていないようでいた。しかし仮に聞こえていたとしても、荒生田自身はまったく否定をしないだろう。なぜなら大超獣(バルキム)を事実上自分の手下に(見事)できたので、今や有頂天の極みに酔いしれている最中なのだから。

 

 そんなサングラス😎の戦士が、声も高らかに、大きく宣言を遂行した。

 

「ゆおーーっし! てなわけで、きょうからオレたちは日本……いやいや小せえ小せえ! 地球防衛軍の初出陣じゃあーーい☆☆ それでは全員でぇ、エイエイオーーッ!!」

 

 などと明らかにひとり浮きまくりも構わず、大声での歓声上げまくり。これには周りの三人(静香、裕志、到津)も、嫌々ながらで、仕方なくだった。それぞれ右手を挙げて、気合いの乏しい掛け声を上げてやった。

 

「しょうがないわねぇ☹ お〜〜っ☂」

 

「お、お〜〜☂」

 

「はい、お〜〜あるね☃」

 

 無論バルキムも右腕を挙げてクォ〜〜ンと、地上にいる人々と同じ仕草を繰り返した。

 

 このような連中の周辺に、これまた絶妙なタイミングで、ちょうど朝日が差し込んできた。


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