『剣遊記 番外編X』 第二章 超獣使いとゴウマン男。 (2) 「それで……ぼくん話、信じてくれるとですか?」
ここでいったん、説明を打ち切り。裕志は恐る恐るの思いで、先輩戦士に念を押してみた。
「う〜〜むぅ〜〜♠♦」
荒生田は地面に尻を付けた格好で胡坐{あぐら}を組み、ふだんのこいつらしくもなく、深い瞑想の世界へと入り込んだ。
だが、その返答が出るよりも先にだった。
「信じるも信じないも、現にこうしてけい、あたしたちの前さこの、かっこぶバルキムがいるんだげね☆ これさ今さら、どうやって否定さしたらええって言うんだがね✄✌」
繰り返すが、三度の食事よりも大きい物好きな静香が、今や一同の中で一番興奮気味な感じ。この場でのリーダー格であるサングラスの戦士を押しのける勢いでもって、一気にまくし立てた。
「は、はあ……ごもっともで……♾」
この迫力にはもちろん、裕志はタジタジ模様。
「それに今もこうやっておとなしくしとるんけい世話ねえんだども、この子が大暴れさしたらきっと、天下無敵の大超獣さなるんじゃねえなん☆ あたし、子供んころから伝説っとか神話っとかに出てくる怪物とか怪獣が、まあず大好きだったんさぁ☀ それが今こうして目の前にほんとにいるんだよ☝ これってもう最高に最高! 夢にまで見た夢の出会いなんのぉ、これって☀♡」
「そ、そげんでしたかぁ……♾☢」
静香の興奮が最高潮になればなるほど、反対に裕志自身の気持ちは、どんどんと下降線をたどっていった。
彼女の巨大な物好きは、この際問わないようにする。それよりも裕志自身は、悪魔の人体実験から、ほうほうの体で逃れてきた身なのだ。ところが生還よりも超獣出現のほうを喜ばれて、裕志の気分はムチャクチャに複雑となっていた。
この間到津は、みんなが飲んだコーヒーカップを洗う作業に専念中。近くの小川で汲んできた、小型のバケツに入った水でカップをゆすいでいた。また荒生田は今も変わらず、瞑想に熱中(熱中)しているようでいた。
そのサングラス😎戦士が、沈黙の男の姿を、一瞬にして返上。周りの三人(裕志、静香、到津)を驚かせた。
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