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『剣遊記 番外編X』

第二章 超獣使いとゴウマン男。

     (11)

「ま、まさか……先輩……☠☢」

 

 話の一部始終をすべてうしろで聞いていて、裕志は不安と困惑丸出しの思いになっていた。無論そのような後輩の顔など、とっくの昔から度外視。荒生田の荒い鼻息は止まらなかった。

 

「ゆおーーっし! 当たり前ったぁーーい! どげな怪獣が出たかは知らんちゃけど、オレたち地球防衛隊の初出動にふさわしか舞台がすぐ目の前にあるっちゃけぇ、今からオレたちゃ神戸港に向かうったぁーーい!✈」

 

「素敵ぃ♡ いよいよ怪獣大戦争が始まるわけなんさぁ☀☆」

 

 静香までが大いに悪乗りを開始する始末。積極的に荒生田の肩を持っていた。

 

 これを見た裕志は、再びつぶやいた。

 

「やっぱし先輩と静香ちゃんって、本人同士はいっちょも気づいちょらんみたいなんやけどぉ……やっぱ似た者同士っちゃねぇ……さしずめ静香ちゃんは、女荒生田先輩なんやろっかねぇ♋」

 

 もちろん今のつぶやきも、自分の前を行くサングラスの先輩とバードマンの女戦士の耳まで届いてはいなかった。しかしもしも、これが届いていれば、荒生田のほうはむしろ大喜びしたりして。だけども静香のほうは真逆で、絶対に気を悪くするに違いなかろう、たぶん。

 

 そこへ同情なのか。それともこれで、一種の励ましのつもりなのだろうか。到津が裕志の右肩をうしろからポンと、左手で軽く叩いてから言ってくれた。

 

「まあまあ、裕志さん、ここは荒生田さんに付き合て、神戸の街に急くわや✈ 大丈夫、裕志さんのパルキム、絶対強いのこと✌ ワタシにはパルキムの底力、こが〜によくわかるだわね☺」

 

「う……うん☁」

 

 裕志は到津に、覇気の無い生返事を戻してやった。しかし、その胸の内は無茶苦茶に複雑。

 

(到津さんは無責任に言{ゆ}うてくれるっちゃけどぉ……けっきょく重い荷物ば背負わされるんは、いっつもぼくなんよねぇ……☠)


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