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『剣遊記超現代編T』

第一章  某漫画家の転換、分裂!?

     (6)

 三人がそろって室内に侵入をしたとき、孝治はさすがに完全熟睡の状態にあった。だから当然、万願の女神御一行様のご到着など、気づくはずもなし。もっとも相手は超常現象的な神のごとき存在なので、たとえ真っ昼間に本当に目の前に立っていたとしても、一般人(孝治含む)は絶対に知るよしもない話であるけれど。

 

『チナの言いはるとおり、けっこうほんまもんのイケメンはんでおますなぁ

 

 一般人に姿を見せない女神の身分を良いことに、ミーナが孝治の寝顔を、失礼にも真上から眺め見てくれた。隣りの部屋では妹の涼子が寝ている様子もわかるのだが、とりあえずそちらに用は無かった。それから念を押すような口調になって、ミーナが自分の右横に立つチアに顔を向けた。

 

『なんか女子はんにするのがもったいないような気がしまんのやけど、これも御本人の御希望でおますんやな♐』

 

『そんとおりやで、師匠♣ チアははっきり、この耳で聞いたんやからな

 

 チアは自信たっぷりに答えた。続いてミーナは、左のチナにも訊いてみた。

 

『チナ、このお方は女子はんになりたいだけやのうて、自分はんが四人おったらええ……とも言うたんでおますんやな

 

『はい、そうですうぅぅぅ♪♪♪』

 

 チナもためらいなしで師匠に答えた。

 

『そうでおますか

 

 これにてミーナの気持ちも固まったようである。

 

『このお方のふたつの願い、この万願の女神であるミーナが叶えて御覧みせまっせ☀ うちの最上級の魔術、チアもチナもよう見ておくんやでぇ☆★☆』

 

『いよぉっ! 師匠、にっぽん一やでぇ!』

 

『わくわくわくぅ☆ チナちゃんもぉ、とってもお楽しみさんですうぅぅぅ☺☺☺

 

 双子の弟子姉妹から、ある意味無責任な囃しを受ける中だった。ミーナはそれほど広くない寝室内で大きく両腕を横に張り出し、人の耳では解析不可能な呪文をつぶやき始めた。


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