『剣遊記超現代編T』 第一章 某漫画家の転換、分裂!? (5) 『ただいまさんですうぅぅぅ♡♡』
チナはミーナとチアの前に戻るなり、たった今見てきたことを、なんの脚色も誇張も無しでふたりに報告した。
『あのイケメンお兄ちゃん、自分がぁ四人いたらいいなあってぇ、言ってましたですよぉ☛』
『なんや? 新しい願望かいな?』
妹の報告に、姉のチアが瞳を丸くした。
『まあ、珍しいことやおまへんで✍ 人間はんにはいろんな願いがあるもんどす、そう言うことでんな✐』
反対に師匠であるミーナは、比較的に冷静でいた。
『ふたつの願望を同時に叶えるくらい、デビューしてほやほやではおまんのやが、とにかくこの万願{まんがん}の女神であるうちの力を持ってすれば、特にむずかしいことやおまへんで☻ よろしゅうおま✌ うちがその兄はんの願い、成就させてみせますえ✊ チアもチナも、うちの万能の力、よう見ておくんやで✍』
両手をポンと打ち鳴らしながらである、ミーナの、端から見ればよくわからない宣言であった。だけどチアもチナも、まさに純粋無垢そうな笑顔を浮かべ、万願の女神を自称したミーナにうなずいた。
『はいな✋ 師匠!』
『ミーナちゃん、カッコいいさんですうぅぅぅ♪☀♡』
これにてようやく、三人の正体が判明したと言っても良いであろうか。つまりミーナは(新人)万願の女神。チアとチナは、その弟子と言ったところだろう。
すぐに三人(ミーナ、チア、チナ)は空中から急降下をして、眼下のマンションの一室――孝治の部屋に突入した。 (C)2017 Tetsuo Matsumoto, All Rights Reserved. |