『剣遊記超現代編T』 第一章 某漫画家の転換、分裂!? (18) 「で、では……新しく来てくれる予定のアシスタントさんたちに連絡しますね☎」
友美がなんとか落ち着きを取り戻したらしいところ(?)で、さっそく手提げのカバンの中から、専用の携帯電話を右手で取り出した。
それからすぐに、ボタンをプッシュ。ある所――アシスタントたちに電話を入れた。
「は、はい……お待たせしてすみません☻ ネームの打ち合わせはまだなんですけど、一応今、先生との承諾が終わりましたので、今からお迎えに参ります⛹ ほんとに待たせてごめんなさいね⛱」
「承諾っちなんね?」
うしろで電話でのやり取りを聞いていた治花のツッコミには、誰も応じようとはしなかった。それよりも確かに、携帯電話の中から微かだが、相手の返事が元孝治たち四人と涼子の耳にも聞こえていた。それによると待たされているアシスタントたちは、それほどムカついている感じでもないようだ。
それから電話が終わったところで、友美がある重大な事実に、ハッと気がついたご様子。すぐに元孝治たち四人と涼子に顔を向けた。
「そうだ! きょう来るアシスタントの皆さん、鞘ヶ谷先生を男のままだと思ってますけど、いいですかね? 先生が女性になってるなんて、わたしもまったく知らなかったことなんで……☁」
「うわっち! そ、それはぁ……☁」
「まずいかも……やねぇ☢☠」
孝江と孝乃を始め、残りのふたりと涼子も、苦虫を三百匹ほど噛み潰したような気持ちとなった。
涼子が言った。
「まだまだ苦労は続くっちゃね☠」
「と、とにかく……適当な理由ば考えとくっちゃよ✐」
「まあ……お任せします☁」
苦しまぎれが見え見えだが、孝江の言葉に、友美がため息混じりでうなずいた。
「……あっ! それとなんですけどぉ……♋」
さらに友美は、なにかに気がついたらしかった。部屋から玄関に出ようとする寸前、担当記者が四分裂した漫画家に振り向いて言った。
「先生……四人とも服装が男物なんですけど、それでいいんですか?」
「「「「うわっち!」」」」
孝江、孝乃、治花、治代の四人が、これまた見事に絶句した。
「あっちゃ〜〜☢☠」
涼子も額に左手を当て、苦虫の量を、もっと増したような顔になった。
「やっぱ言われてしもうたっちゃねぇ☠ でもこればっかは、今すぐどうしても用意できんことやけねぇ☢ 今から買いに行くにも、もう時間が無かやし✄」 (C)2017 Tetsuo Matsumoto, All Rights Reserved. |