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『剣遊記超現代編T』

第一章  某漫画家の転換、分裂!?

     (17)

「……と、とにかく、わかりましたわ☆」

 

 これ以上の会話が進まなくなったところで、なぜか友美が、両手を合わせてパチンと打ち鳴らした。

 

「変なこと聞くんですけど、これで鞘ヶ谷先生の漫画製作に、困ったことは起こらないんでしょうか? いえ、決して先生のことより漫画のことを大事にしてるってわけじゃないんですけどぉ……もし不都合なことがあれば、このわたしにおっしゃってください♠♣」

 

 ここでいきなり瞳を輝かせた友美。まるでなにかの決心が固まったかのよう。これに半分とまどった気持ちになりながらも、四人の元孝治たち――なぜかまたも代表して、孝江が返事を戻した。

 

「いや……漫画家として困ってるっちゅうことは……いっちょも無かですよ✌ むしろ考える頭が今までの四倍になったようなもんやけ、仕事の能率が大きくスピードアップしたみたいに漫画のストーリーが四人で話し合ってスイスイ進められるっちゅう感じですけ✋✊

 

「ようするに三人寄れば文殊の知恵どころか、四人に増えたけもっと大きな文殊の知恵って感じっちゃね✍」

 

 うしろから涼子が、やや冷やかしの調子でつぶやいていた。友美は頭を左右にプルプルと振ってから、改めて元孝治たち四人に問い直した。

 

「……決して先生の体の異変より仕事を優先するわけじゃないんですけど、先生の作品は今ジワジワと人気が高まっているとこなんで、今休載するのは非常にまずいんです でも、どうしても描けないとおっしゃてくれたら、わたしも考えるとこだったんですけど、先生ががんばってくれるとおっしゃってるんですから、わたしも力一杯に先生……いえ先生たちへの支援と協力と応援を続けたいと思います✊✊✊

 

「は、はい……おれも……じゃない✄ あ、あたしたちも……がんばります

 

 孝江を先頭に立て、四人全員で直立不動。コクリとうなずいた。少し引いた気持ちになりながらで。


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