『剣遊記超現代編T』 第一章 某漫画家の転換、分裂!? (14) 「どげんすると? 友美さん、もうすぐ新しいアシスタントば連れて、ここに来るっちゃけね⚠」
代理で友美との電話応対をした涼子が、元孝治たち四人に、辛辣なセリフを進呈してくれた。
「ど、どげんするったって……☁」
涼子の指摘に、治花が代表して(?)口ごもった。ついでだが、四人そろって顔も姿格好も、寸分の違いも区別も無いので、それぞれ小学生みたいな名札を、全員右の胸に付けていた。それもただの紙に名前を書いて安全ピンで止めているだけの、実に簡単なシロモノであった。
「どげんしよっかぁ……☁」
続いて孝乃が口ごもった。自分と同い年で良き理解者でもある担当記者――友美に、元孝治たち四人は、正直にすべてを話すつもりでいた。しかし実際にそのシチュエーションが迫ってくると、どうしても心臓がバクバクと鼓動を強くしてしまうのだ。
これは四人そろってでの大緊張であった。
「い、一応……覚悟ばできとうっちゃけ✊」
孝江がツバをゴクリと飲んだ。そこへ――だった。玄関のほうからピンポーンと、友美の来訪を告げるドアホンの音がした。
「「「「うわっち! 来たぁ!」」」」
これも四人そろっての発声となった。
「よかっちゃよ☹ あたしが出るけ♐」
兄――もとい姉たちを差し置いて、涼子がさっさと玄関のほうに足を向けた。
「……ど、どげんする?」
この期に及んで、治代が情けない声を上げた。
「……どげんするっち言うたかて……☁」
孝乃が先ほどから進歩のない言葉を返した。それからひと呼吸置いての付け加え。
「……浅生さんならおれたちんことば、きっとわかってくれるっち思うっちゃよ♠ デビュー仕立てのころからずっと、おれたちのええ理解者してくれたんやけ♡」
「「「そうっちゃね……☺」」」
孝乃の言葉に、残りの三人がうなずいた。もともとひとりの人間なので、誰かが発言をすれば、すぐに全員がその意見に付和雷同する傾向は、すでに説明済みであるからして。 (C)2017 Tetsuo Matsumoto, All Rights Reserved. |