『剣遊記超現代編T』 第二章 男一名イコール美女四名? (7) 「確か次は、孝乃お姉ちゃんばいね☻」
「うわっち!」
涼子が開いたお隣りでは、孝乃がパンティーだけはなんとか履いて、次にブラジャーを着けようとしているところだった。
当然に、トップレス状態。
続いて、そのまたお隣り。
「うわっち! うわっち!」
三番目の試着室では、治花がまだ、Tシャツとズボンを脱いでもいなかった。これはまだまだ、女性用の下着に抵抗感がある――と言う心境だろうか。これはまた、四人の脳内は同一とは言え、時間が経てばだんだんと、少しずつ個性が出てくる傾向があるのかもしれない。
でもって四番目である、一番奥の試着室。涼子が同じパターンの繰り返しで、やはりカーテンを、遠慮もなにもなしでガバッと開けた。
「うわっちぃーーっ!」
四番目である治代は、なんと完全真っ裸の格好でいた。つまり今から、パンティーとブラジャーを着るつもりであったようだ。ところがその前に、涼子がカーテンを全開にしちゃったわけ。
治代の一糸もまとわぬ真っ裸姿は、店にいる従業員や他の客たちから、一斉の注目を集める結果となった。
「りょ、涼子っ! 早よカーテンば閉めちゃってやあ!」
「あっ、ごめん☻」
すぐにカーテンは閉じられたが、店内が大きくざわめき始めていた。だけどざわめきの内容は、それほど悪い評判ではなかった。
「今の人って、けっこういい体してたわねぇ☺」
「どこのモデルさんかしら?」
「ほんと、充分にプロでも通用するわよねぇ♡」
それらの声がカーテン越し(すでにカーテンを閉じている)で耳に入る孝江は、微妙に複雑な気持ちとなった。
「いっちゃん端っこは治代やったっちゃねぇ……気の毒に☠ でもおれたちってほんなこつ……ええ女になってしもうたらしいみたい……♋ これって喜んでもええことやろっかねぇ?」 (C)2017 Tetsuo Matsumoto, All Rights Reserved. |