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『剣遊記超現代編T』

第二章 男一名イコール美女四名?

     (3)

 スタジオの全員にコーヒーを配り終えた涼子は、いったん台所に戻り、そこで待っていた友美に声をかけた。

 

 担当記者である友美も、元孝治たち四人が心配で、きょうは一日付き合うようにしていた。

 

「友美さん、お兄ちゃん……じゃない、お姉ちゃんたち、日にちはまだ決めてないけど、みんなで飲みに行こうって言ってましたっちゃよ☹ あたし賛成も反対もせんかったとですけど、これでいいとやろっか?」

 

 トレイをキッチンに置きながらささやく涼子に、友美がくすっと微笑んだ。

 

「ええ、それはいいことだと思うわ、涼子ちゃん☆ なにしろ漫画はスタジオ全体のなごやかな雰囲気が一番大事なんだから、親睦を深めることには、わたしは賛成よ☀ あとはただ……☁」

 

「ただ……?」

 

 友美の言葉尻に、涼子が少しだけ、眉間にシワを寄せる気になった。これにやや笑顔を曇らせた感じで、友美がため息混じりに返答した。

 

「……率直に言えば……なんだけどぉ……鞘ヶ谷先生の服装が問題なのよねぇ☠ 今のところ用意も準備もなかったから仕方ないんだけど、早いところ女性用の衣服を買わないと、今に大変なことになりそうだわ⚠⛑

 

「あっ! それはあたしも思うっちゃね☞」

 

 涼子もすぐに同意した。

 

「さっき、仕事中のところをちょっと見たんやけど、孝江お姉ちゃんのおっぱいがTシャツの隙間から丸見えになっとうとこ、あたし見てしもうたっちゃねぇ☠☢ アシスタントのふたりがそれに気がついて、今にも鼻血が出そうな顔になっとったとやけ☻☻」

 

 つまり涼子は、仕事場の様子を、陰からずっと覗き続けていたわけ。とにかくなにかの間違いが起こって、これが一大事とならないように――の気持ちで。さらに友美も、ときどき仕事場に顔を出していた。今のところは、なにも起こっていないようだけど。

 

「なんと言っても、わたしもこんなことは生まれて初めての経験なんだから、とにかくあれこれに気をつかうのよねぇ☻ 涼子ちゃん、とにかくふたりで、あの四人の鞘ヶ谷先生を支え合おうね

 

 なぜか力説してくる友美だが、心境は涼子も同じである。

 

「わかりました、友美さん あたしも急な大変化っちゅうのはわかってますけど、最後まで元お兄ちゃんであるお姉ちゃんたちを見守っていきますけ♐

 

 友美と涼子がガッシリと、お互いで両手を握り合う。

 

 このように、大の仲良しな友美と涼子である。それでも一応年の差(友美ニ十歳。涼子十八歳)もあって、名前の呼び方に『さん』と『ちゃん』の違いがある理由は、まあ『親しき仲にも礼儀あり♡』ってところか。ちょっと違うかな。


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