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『剣遊記超現代編T』

第二章 男一名イコール美女四名?

     (23)

 このとき友美が叫んだ。

 

「きゃっ! 荒生田{あろうだ}さんじゃない!」

 

 倒れたサングラス男に駆け寄って、友美がそいつの名前を言ってくれた。

 

 また荒生田とやらに付き添っていたふたりの男も、慌てて倒れた彼の元に駆けつけた。

 

「し、しっかりしてください!

 

「もう、だから言わんことじゃないのにぃ

 

 元孝治たち四人に面識の記憶はあやふやなのだが、三人はどうやら、未来出版での友美の同僚らしかった。

 

「「「「あろうださん?」」」」

 

 四人で一斉につぶやいてはみたものの、その件はとりあえず棚上げ。元孝治たち四人の酔いに任せた怒りが、これにて早くも頂点へと達した。

 

「この野郎ぉ! もう頭んきた♨ 表に出らんけえ!」

 

 治代が絶叫した。これにヤローどもも、ニタリと口の右端をゆがませた。

 

「おもしろい☻ 出てやろうじゃねえか☻☻」

 

 たった今までの仲間ゲンカを、綺麗に忘れたらしい。元孝治たち四人の啖呵に、例の恰幅右パンチ男を中心にして、自分たちから進んで挑発に乗ってきた。


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