『剣遊記超現代編T』 第二章 男一名イコール美女四名? (13) 「おねえちゃんたちのおっぱい、ぼくのママより大きい☛」
頭を坊主にしている(今どき珍しい)、やはり五歳くらいのガキんちょが、四人の胸をいきなり右手で指差した。
「「「「うわっち!」」」」
実はこれも予想の範囲内ではあった。だけどそれでも、面と向かれてはっきり言われると、なんだかとても恥ずかしい思いになるもの。
「ま、まあ……大人になったら、女の人はみんな、こげん大きゅうなるもんやけね☻♋」
無茶苦茶苦笑の気分になって、治花が引きつり承知の笑みを浮かべた。だが今の幼児のセリフが合図になったわけでもないだろうに、なぜか元から集まり気味だった子供たちの団体が、さらに群れをなして増えてきた感じ。元孝治たち四人の周りが続々と、大人数の塊{かたまり}になってきた。
「あたちも大人になったら、大きなおっぱいになるのかなぁ?」
「大人っていいなぁ〜〜☺」
特に女の子たちからは、あからさまな羨望の瞳で見つめられる始末。
「ははっ……きっとみんなも大きゅうなるっちゃよ☕⛐」
根拠はまったく示せないが、治代はそう言って、ごまかしと苦笑を続けるしかなかった。だが、これらのおっぱいの大きさに対する関心の内ならば、まだまだ良かったかもしれない。話はついに、行き着くところまで行き着いたのだ。
「ねえ、おっぱい出る?」
先ほどの丸坊主のガキんちょが、言ってはいけないセリフをすべらせてくれた。
「「「「うわっち?」」」」
思わず瞳が点の気持ちとなった元孝治たち四人。しかし幼児たちのほうは、これでますますヒートアップをした感じ。なぜか一斉に集団となって、四人を完全に取り囲んだ。
「ねえ、吸わせて♡ 吸わせて☺」
「牛乳みたいなの出るのぉ?☻」
幼児たちに悪意は、まるで無しの様相。純粋無垢に、興味本位だけで迫っていた。元孝治たち四人は困り果て、助けを求めるようにして、先にひとりでシャワーを浴びている涼子に瞳と顔を向けた。
「……りょ、涼子ぉ……こげな場合、どげんしたらよかっちゃね?」
兄から変わって姉である孝乃の情けない問いであるが、涼子の返答は、ある意味突き放し的だった。
「まあ減るもんやなし、子供たちの好きにさせたらええんとちゃう☻? これも大人の階段ば昇る、貴重な一歩になるとやけね☺」
「そ、そげなぁ〜〜☂ 意味不明ばぁ〜〜い☠」
治花が泣きそうな気分になったとたんだった。別にそれを引き金にしたわけでもないだろうけど、子供たちが一斉に「うわぁーーい!」と、元孝治たち四人に飛びかかってきた。
「「「「うわっちぃーーっ!」」」」
それこそ男女の区別なし。男の子も女の子も力を合わせ(?)、四人を総掛かりで押し倒してしまう。
「うわっち! や、やめてぇーーっ!」
「きゃん! くすぐったかぁーーっ!」
「こ、こら、ほんなこつおっぱいに吸い付かんといてぇーーっ!」
「うわっちぃ〜〜、ええ気持ちぃ〜〜っ☠」
冗談抜きで幼児たちから代わるがわるで胸にしゃぶり付かれ、もはや孝江も孝乃も治花も治代も、抵抗力をまったく失った。
この間に他の幼児たちも、シャワールームで走り回るやら、すべりまくるやら。それをまた四人と涼子で追い駆け回したりで、浴場は超超大騒ぎの修羅場となっていった。 (C)2017 Tetsuo Matsumoto, All Rights Reserved. |