『剣遊記]』 第二章 薔薇と愛妻の秘密。 (21) 「まっ、こがんもんでしょうね☻ とにかくみんな、がばい気ぃつけるんばい☀」
とりあえず、話にケリが着いた感じ。ここで勝美が店長に代わって、この場を締めに入れてくれた。
(秘書の勝美さんにオチば着けさせて、店長も無責任ばいねぇ〜〜☠)
孝治は声には出さないようにしてつぶやいた。それが聞こえたわけでもないだろうが、黒崎が一同を見回して、こちらも締めらしい言葉を言ってくれた。
「じゃあ、もう一度確認するがや。今回の仕事の依頼人は、和布刈秀正君。その報酬は孝治と友美君と可奈君で三等分だがや。また美香君は今回は研修扱いとするから、旅の路銀の支給だけとなるがね。もちろんなんらかの手助けを行なった場合は、帰ってからその分の報酬を支払うことにするから、そのつもりで」
「……」
声が小さ過ぎてなにも聞こえないのだが、美香が『わかったずら……』とでも言いたげに、頭を小さくうなずかせた。
さらに、このような彼女たち(孝治含む)に加えてだった。
『ねえ☀ あたしもおるっちゃけねぇ☀』
こちらはいくら大声を出したところで、孝治と友美以外には聞こえない。そんな幽霊の涼子が、無報酬は常に承知の上でだろう。黒崎と勝美の面前で宙に浮遊して、自分を右手で指差しながらの売り込み作戦を決行していた。
『誰にもわからんとやけど、あたしかていつもたっくさん大活躍ばしよんやけね♡』
ここであまりくわしい表現描写をしたくはないのだが、涼子は自分の姿の非公開を良い状態にして、全裸での悩ましい姿を見せびらかしていた。
「あちゃぁ……☠×☠」
孝治と友美には、そんな涼子の悪ふざけが、丸見えの有様。ふたりして冷や汗をたらたらと流している真っ最中だった。
今度は突然ドカァッと、執務室のドアが乱暴に蹴り開けられた。 (C)2014 Tetsuo Matsumoto, All Rights Reserved. |