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『剣遊記Z』

第四章 悪霊大決戦!

     (9)

 取蜂を狙ったであろう火炎弾が、その先にある石の塀に命中!

 

 もともとから崩れかかっていた壁をドッガアァァァァァァァァァッッと、物の見事に粉砕した。

 

 ついでに孝治もすっ転んだ。

 

「うわっち……痛てててててっ!」

 

 ダメージはむしろ、孝治のほうに甚大。地面に尻を強く打ちつけた痛みと、おまけに腰が抜けてしまい、孝治は枯れ草の上でのた打ち回った。

 

 もちろん火炎弾のような物理的攻撃など、霊に通じるはずもなし。それを熟知しているであろう取蜂が、蔑{さげす}みの目付きで、美奈子をギロッとにらんだ。

 

『なんのつもりで☠』

 

 当然美奈子も負けなかった。

 

「当たり前のことどすえ! あなたはんを吹っ飛ばすつもりやったんでおます! そやさかい、まだまだ火炎弾をお見舞いしますえーーっ!」

 

 周囲には身を包む物がなにもなく、千秋が一番大事な個所(?)を両手で隠してくれている以外、いまだ素っ裸のまんま。だが、もうそんな状態に構ってはいられないようだ(いいのけ?)。腰が痛いながらも孝治は、思わず美奈子に再び同じセリフを叫んだ。

 

「やけん、もっと恥じらいば知りんしゃい!」

 

『えーーい! どいつもこいつも、こんわしをよーけコケにしようてからぁ♨!』

 

 また取蜂の両目も、さらなる怒りで一層赤味が増していた――とはいえ、真昼のせいで半減しているような霊力では、こちらも有効な反撃ができない様子でもあった。


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