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『剣遊記12』

第五章 悪の宮殿、最終決戦。

     (8)

「先輩……これで一応孝治は助かりましたんやけど……ほんなこつこれでよかなんですか?」

 

 裕志から尋ねられている人物は、言わずと知れた荒生田であった。

 

「はい、また、また、また、また、お会いしましたねぇ♡ でもこれでいいんですねぇ☆ これは昔の伝承歌の中にもありましたけどぉ、味方の美女が危機一髪のとき、あわやと助けに駆け着けるヒーローは、必ず謎の音楽と共に現れるんですねぇ♡ つまりこれは、敵を攪乱させる、正義の味方が必ず行なう、目立つための戦法なんですねぇ☀」

 

 なんだか口調が某映画解説者風に変わっているけど、この現象は不問にする。それよりも裕志の左隣りにはもうひとりがいて、博美がすっかり感心の面持ちで、荒生田の長セリフに賛同していた。

 

「なるほどぉ、いっぺーじょーとーなことばんない言うだある☺ それに味方でいなぐーである孝治を、いついかなるときでもでーじにするさーっていう、フェミニズムって言うのか? とにかくその使命感も、なんかしゃにいいねぇ〜〜♡」

 

 裕志は彼女のセリフを聞いて、ボソリとつぶやいた。

 

「先輩の考えるこつっち、子供んころからいっしょにおるぼくかていっちょもわからんとに、なして博美さんは、こげん前向きに考えてばっかしなんやろっかねぇ?」


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