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『剣遊記12』

第五章 悪の宮殿、最終決戦。

     (17)

「ゆくし(沖縄弁で『嘘』)とでっち上げの報告ってわけぬーやが♨ それはそうだばょ、周りにはこんなにばんないやーの悪事の目撃者がいるってすが、どうやってゆくし報告する気ぬーがや?」

 

「うっ……💀

 

 これまた至極当然な博美の問いで、東天の余裕がここでついに、やや揺らいだように見受けられた。少なくとも孝治には、そのように見えていた。

 

「あのおっさん、また顔が変わったっちゃね☝」

 

 孝治の指摘に関係なく、東天が吠えた。

 

「か、か、簡単なことだ☂ こ、ここにおる全員が、死ねばいいだけの話だからなぁ☠」

 

「思うちょうことが、けっこう顔に出やすか人なんかもねぇ、東天っち☠」

 

 孝治の再度のつぶやきどおり、これではもはや、性格破綻も同然と言えた。

 

「やっぱ、もともとからあげん危ないおっさんやったっちゃねぇ☢ こげなことも見抜けん中央の役人なんち、やっぱし馬鹿の集まりなんよねぇ☠ 左遷で厄介払いばせんで、さっさと解雇{クビ}にすりゃあ良かったっちゃよ☻」

 

『孝治ん言うとおりっちゃねぇ☻』

 

 ここで孝治と涼子のささやきが連動した。それはそうとして、事態としては最悪の展開中だった。なにしろ話の進行自体に、一向に逆転の兆しが見えてこないのだ。ところがそんなときになってこそ、やはり御都合主義の神様は、出しゃばってくるものらしかった。

 

「あ、あのぉ……お客様がお見えになりましたばってぇ〜〜ん♋」

 

 現在の状況がわかっているのか、いないのか。門番の兵が青い顔をして、非常事態直面中である宮殿内の大広間に、のこのこと顔を出してきた。


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