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『剣遊記12』

第五章 悪の宮殿、最終決戦。

     (12)

「おらおらおらぁーーっ! えぃそこどけぇーーっ!」

 

 さすがにラリーと一心同体の間柄にある博美の勇猛果敢さは、後世まで語り継ぐほどの価値が絶大ものだった。

 

「わひぃーーっ!」

 

「あんぎゃーーっ!」

 

 大した武器の用意がなかったとはいえ、象の鼻のひと振りで、居並ぶヤクザどもがまとめてふたり三人と、次々に吹き飛ばされていった。

 

 一方でラリーのほうも、いったい今までどのようなフラストレーションが溜まっていたのやら。なんだか博美からの指図以上に、パオーーッと暴れまくっていた。

 

「あきさみよー(沖縄弁で『なんてこった』)、くりんやるじゃねえか、ラリーよぉ♡」

 

 そんな愛象の活躍ぶりを、博美は楽しそうに頭の上から眺めていた。またこの光景は、遅れて門から飛び出した荒生田の三白眼にも入っていた。

 

「まあ凄いですねぇ、怖いですねぇ☀ でもこれって、まだまだ博美さんの本領発揮とまではいかないんですねぇ☻ まさに序の口なんですねぇ♡ では皆さん、大いに期待してください、期待してください、期待してください♡」

 

 いったいなんの気まぐれなのか。原因不明の某映画解説者的講談を続行中。これにはやはり遅れて出てきた裕志から(けっきょくついて来た)、珍しくもお小言を頂戴される始末となった。

 

「先輩……解説はもうよかですから☠ さっきからいったい、その芸になんの意味と脈絡があるとですか?」


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