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『剣遊記番外編U』

第四章 魔剣VSアンデッド軍団!

     (9)

(作者より、このページのみ飛ばし読みをして構いません☠)

 

「……私がこの世に生を受けはりまして……とは申しましても、なにぶんにも長寿で名高いエルフの身でありますさかい、実のところ正確な生年月日なるものは、この私自身も全然わからへんのが実情なんでおますんやけど、恐らくは五十から七十……いや、それ以上の間でございましょうか……とは言いましても、私とて無為に生きとったわけでもおまへんのやけどな☺ とにかく常にと申しましょうか☏ 幼き時代からの夢だけを追い求め、あちらの国、こちらの国、具体的に申しますれば、北は北海道から南は沖縄の島々まで、ずいぶんとこの日本列島全体を渡り歩いたものでございまんがな✈ もちろんこれだけ日本の各地あちらこちらを放浪いたしました身の上とは申せ、まだこれで海外までの進出を果たしていないことのみが、心残りと申せば心残りなのでございまするが、そこはまあ、死ねば我が魂は無限の翼を持ちまして、私の無念とともに世界の果てから隅々にまで羽ばたいてくれはるもんでございましょうや✈ などと、私は小さな希望を胸に秘めておますんや✌ そやさかい、今はこうして、名も無く主人の居場所さえも明らかではあらへん、ちっぽけなる場末の炭焼き小屋の中におきまして、その生涯を終えるわけなんでおますんやが、これはこれで、案外私の命の終焉を飾るにはふさわしい場所であるかもしれまへん⛼ ただ残念なることには、今は季節が異なる理由もあるのでございましょうが、炭を焼く使命こそお休みになりはっておりまするが、やがては訪れる北よりの使者、遥かなる大陸より渡来をされまする大寒気団の列島上陸に備えるときにこそ、この小屋の本領発揮といったところでございます⛱ つまりこれこそ、すべての動物や植物がお眠りになられはる冬の季節の到来なのでございまするが、冬とは申せばこの私、こうして寒さに対する備えは今でこそ完ぺききちんとおこたりなくそろえることが可能なのでございまするが、食うや食わずの若い時代、まあこれも、何十年昔のことやら⛸ とにかく、それこそ広きに渡って知られております童話の世界、マッチを売る少女のごとく、とある大都会の片隅にある酒場や宿屋、ひいてはご理解にあるご邸宅を訪問させて頂き、誰か私めの歌を……いえ、歌が駄目ならばせめて竪琴の一曲だけでも弾かせていただきたいと切に願いながらも、もはや貧しき流浪人たる身まで落としてまでさまよった昔も、今となっては懐かしき人生の勉強の時代にてございました♪ それは今にして思い起こせば、東の帝都東京市のとある街の一角にての出来事なのでございまするが、この私自身めは本当に放浪癖と申しましょうか、悲しき旅人の性癖がございまして、この私自身も驚いた話、きのうまで先ほど申しました東京市におったはずやのに、目が覚めればどういうわけだか、中部日本の名古屋市に流れていはったり……かと思いますれば、今度はいつの間にやら足を伸ばしたものやら、北の方角に進路を向けはったらしゅうて、今度の今度は日本海側の新潟{にいがた}市の安宿屋のボロベッドで眠っていたかと思いはったら、今度の今度の今度は東北地方の盛岡{もりおか}市であったり、また、これはこれでいつ海を渡ったものやら、なぜか南国の沖縄県覇{なは}市まで来ていたりと、思えば我ながらの神出鬼没ぶりには、もしかしたら私は寝ている間にどんな遠くでも行ってしまいはる重度の夢遊病患者なのではと考えてしまいはるしだいなんでございます⚉ そしてこれから先がまた奇妙奇天烈なのでございまするが、私はいつも目が覚めまする寸前、どうしてだか妙な夢を見てしまうことが多くございまして、例えばこれは関東は房総{ぼうそう}半島の南の端、千葉県の館山{たてやま}市を訪れたときの体験にてございまするが、そこは東京湾の入り口にあたります太平洋を望みまする海洋の風景が真にもって美しい町でございまして、私は海岸線が望めまする高台にある一軒の宿屋にひと晩泊らせていただいたのでございまするが……おっと、これはもちろん高級な宿屋などというわけではございませんので、この私のような素性の知れない流れ者でも一夜の宿を提供してくれはります、実に良心的で親切極まる宿屋ではございましたが、さすがに長い年月の無理が祟っているらしく、窓や壁の隙間からビュービューと海風は入りますわ☢ やぶ蚊が部屋に入って体中がかゆうなりますわで散々な目にあった記憶も、今となっては厳しくも懐かしく楽しき日々の思い出でございましたんやわぁ♡ おっと、これまた話が横道にそれてしまいましたけれど、その夢の話と申すことには、私も自分自身で告白する行為が大変お恥ずかしい話ではございまするが、これでも竜宮の伝説に興味というモノがございまして、その宿屋にて夢を見させていただくなり、私の心はこの私自身の体から遊離をしまひて、海の底のなんとも美しき華麗なる大御殿、いわゆる竜宮城へとご招待をされまひて……ここでまた話を少々横道に入らせていただければ、私は別に海岸の砂浜にていじめられてはるウミガメを助けたわけではあらしまへんので、これは初めにきちんとお断り申しておきますゆえ♐ もちろん本当に純粋無垢な子供たちが海辺にてウミガメをいじめてはる光景に遭遇でもいたしますれば、やはり畜生にも憐れみを感じいるこの私の感性もお手伝いいたしまして、それなりにお助けいたすなりの行動を起こすことも間違いはございまへんでしょうや♣ まあ、ウミガメもあれはあれでけっこう丈夫な生き物でございますゆえ、この私ごときが助けなくとも自力で海へと逃げ出すことも可能なのではございまへんかと、私は常日頃から愚考いたすしだいなのでございます⛵ ところでカメと申せば、この日本では古来よりスッポンの類{たぐい}が健康長寿の源として巷にて振る舞われておりまするが、この私自身はやはり、貧しき貧乏吟遊詩人の悲しさ。恥ずかしながら、いまだにスッポンなる食材……いえ生き物をご賞味いたした経験が皆無にてございまして、せめて死ぬる前にぜひとも、話に訊いてはりますビタミンAが豊富に含まれてはるその血の一滴でもとは望んではおるのですが、今のような表現で語ると、この私がまるでヴァンパイア{吸血鬼}のごとき誤解を与えて甚だ遺憾なる事態となりますゆえ、この辺りにて本題に立ち返らせていただきとう存じ、ここらで真に摩訶不思議なる夢の話を続けさせていただきまするが、もともと夢という摩訶不思議なる現象には、古来より予知夢や正夢と申すモノがございまして、これは一度、この私自身が四国の愛媛県松山市の道後温泉にてご拝見をしました経験のある夢なのでございまするが、この私とて実はこの世に生を受けてから何度も経験……それも一度や二度のことやあらへんのですが、ある建造物が大火事に見舞われ、焼け野原となる夢を拝見したことがございまして、これは皆はんもようご存知やと思われはるのですが、古来より火事の夢や空を飛翔する夢などを見ると金運に恵まれるなどと言わはる言い伝えをよく耳に……まあ、この私の場合はこの長い耳になってしまいはるのですが、ただし私自身に限らせて申せば、火事の夢と金運との間にはなんの関連性もないようでございましたが、ただこれが傑作と申すか皮肉なことに、相変わらずの長い放浪生活を続けるしだいとなっておりまんのや⛴ やけどもやはり、火事は恐ろしいもんでありまひて、長い人生を営んでおりますと、やはり地震かみなり火事親父の類は何度か経験を積み重ねたものでございまして……えっと、親父殿だけが実のところ、怖いと感じはったような大した記憶はないようで、かと言って、お袋様の思い出も乏しい流れ者ゆえに、きょう現在に至るまで、全国津々浦々を歩いて周る放浪の民を演じているしだいでもありまひて……いえ、今は火事のお話しでございましたな✐ ただその前に地震についても少々触れさせていただきたいと思うのですが、ご存知のとおり、この日本列島は南北の伸びた細長い島国でございまして、この事実はかの有名なる伊能忠敬なる人物が中世紀にて確認いたしたことにございまするが、古来より日本では大きな地震から小さな地震に至るまで、記録に1ミリの隙間も存在しえないほどに頻発をしておりまして、近々東海東南海南海などの大きな海洋性巨大地震が頻繁に噂をされておりまするが……」


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