『剣遊記 超現代編U』 第二章 性転換娘のいる日常。 (2) 「お風呂沸いたわよぉ☺」
お袋さん(孝治の母、登志子{としこ})が姉妹たちを呼んだ。
「はぁ〜〜い☕」
孝治はスマホゲームの手を止めて、座っていた居間のソファーから立ち上がった。
鞘ヶ谷家では風呂の順番は、孝治が最初と決まっていた。まあ他人様の家のお風呂の順番など、おれにはどうでも良いことだが。
また、家庭内での孝治の私服であるが、おれは見たことがない。これはもう、各自の想像に任せるより他にないだろう。それはとにかくとして孝治に続いて、テレビを見ていた妹の友美{ともみ}(中二)と涼子{りょうこ}(小五)も、いっしょになって立ち上がった。
「あっ、わたしたちも入るぅ☺♡」
「三人で入りたぁ〜〜い♡」
「うわっち?」
孝治はもちろん驚いたと言う。おれはそれよりも、鞘ヶ谷家が長男の突然の女性化に、早くも順応しきっている様子に驚いてるのだが。
とにかく驚いた孝治は、妹ふたりに言ったそうだ。
「な、なんだよ……ついこの前まで、『覗かないでよ☠⛔』なんて言ってたのに、いいの?」
だけど妹たちは、無邪気そのまんま。友美が言った。
「だって、今はもう『お姉ちゃん♡』なんだもん✌ それにあれは、ただの『からかい言葉☻』だったんだし、おんなじ女の子になっちゃえば、もう話は別ってもんよね♡⛑ ねっ、涼子✌ それにお姉ちゃん、まだブラジャーのうしろっとか外すの、まだ上手じゃないでしょ☻ わたしと涼子で手伝ってあげるわよ✌♪」
「うん、手伝ってあげる♡✌」
友美と涼子が、パチッとウインク😉を交わし合う。これは想像するだけで、男のロリ本能を刺激しそうな光景だ。ついでだが孝治のやつ、もうブラジャーまでしてやがったとは♋♋
「そ、そんなもんかなぁ?」
とにかく困惑した孝治は、父のほうに顔を向けた。一家の長であり、ごくふつうの商事会社でごくふつうに課長職を務める父(康幸{やすゆき})は、ソファーの右端に座って、大きく新聞を広げたままの姿勢で、元長男である長女に応えた。
「いいんじゃないか⛑ もともと兄妹なんだし♠」
よく聞いてみれば、声音がやや裏返っていたと言う。
とにかくふたりの妹たちにしてみれば、今まで長男として君臨(?)してきた者の性が、いきなり変更となったわけ。それも女性については新米――という状態であれば、それこそ急に年上の大きな妹が登場した――ようなものであろう。従って妹たちが、ある意味優位に立った気分に浸れる理由も、これはこれで大いに納得ができるものである――と、おれ(和布刈秀正)は他人事ながら、そう思った。さらに言えば、孝治にお化粧をした者も、この妹ふたりに違いあるまい。グッジョブ✌! (C)Tetsuo Matsumoto, All Rights Reserved. |