『剣遊記超現代編T』 第四章 美女(?)漫画家のいちばん長い日。 (21) 「で、中原は今んとこ、何枚写真を撮ったんだ?」
荒生田の口調はふだんのビジネス調とは違って、かなり居丈高な感じ――という風に、涼子には聞こえていた。反対に牧山のほうは、いつものオドオド調子のまま。
「は、はい……だいたいですけどぉ、もう五百枚くらいは撮ってると思います☁」
「そうか☆」
荒生田がキラリと、サングラス😎を光らせた――ように、これも涼子には見えていた。
会話は続いた。
「中原の野郎は、たとえボツ写真でもしっかり保管して保存するような超完全主義者だからな✄ ただ、おまえも思うだろ⚠」
「思うって……なにを、ですか?」
牧山は本当にわかっていないようだった。しかし荒生田のほうは、これにかなりイラッときた様子。
「ばーたれ! 写真集が世に出たら、それなりに売れる✊ だけど未使用エロ写真は、中原の机の中だけに永遠に仕舞われる☠ これがもったいねえと思わねえのか♨」
「でもぉ……先生がボツにしたんなら、それもしょうがない、と思いますけどぉ……☁」
「あほっ!」
荒生田が突然取り出したハリセンで、牧山の頭をバチンと叩いた。二回目のお披露目の必殺技である。
「あ痛っ!」
慌てて頭を両手で押さえる牧山に、荒生田が怒鳴り散らした。涼子が隠れていることに気づいていないのは仕方がないとしても、あまり大きな声を出したら、他の者たちに聞こえるかもしれないのに。
それは関係なしで、荒生田は吠えた。
「あんなあ、写真集に載ってない写真があれば、コアなマニアの間で高値が期待できるんだよ✌ 今回間違いなく写真集で当てて、おまけに裏の写真で小遣い稼ぎになれば、まさに超高額ボーナスってもんじゃねえか✌☻」
「これって、会社のルールに違反してません?」
牧山はまだ弱気であったが、荒生田は俄然に強気だった。
「構わん、構わん! 黙ってりゃ社長にもわかりゃしないよ☻✌ とにかくあらゆる手段を使っても、鞘ヶ谷先生たちの未使用エロ写真を手に入れるんだ☞」
「は……はい……先輩☁」
けっきょく荒生田先輩の強引――かつ傲慢に押された感じ。牧山が渋々を丸出しにした顔で、深々とうなずいた。 (C)2018 Tetsuo Matsumoto, All Rights Reserved. |