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『剣遊記 番外編Y』

第一章  女盗賊への弟子入り志願。

     (16)

「律子さん……い、いえ、これからは先輩と呼ばせてくんしゃい☆ 先輩が自分のことば言うてくれたとでしたら、あたしかて自分のことば言いますばい☀」

 

「せ、先輩ねぇ……☁」

 

 生まれて初めてそのような呼称を言われたので、律子は内心で、今度は大いにはにかむ思いとなった。なにしろ『先輩』の二文字といえば、例のサングラス😎戦士のせいで、今までかなり悪い印象を抱いていたものだから。

 

「まあ……先輩でええばい⛐ で、あなたのことって、どげなことね?」

 

 苦笑を顔面ににじませる思いになりながらも、律子もこうなれば、興味本位が大きく胸の内から湧いてきた。すると会話が弾んで、なにか吹っ切れたのだろうか、秋恵の口調も、かなり早めとなっていた。

 

「はい……あたしかて実は、ふつうの人間のお母さんから産まれたとばってん……お父さんのほうが、なんかホムンクルスやったらしかとです✐ つまりあたしは、ホムンクルスのお父さんの血ば継いで産まれた……っちゅうことらしいとですよ⛪」

 

「つまりぃ……あなたは二代目っちゅうことばいね♣♠ でも、自分の意思でそげんなったわけやなかっちゅうのは、こんわたしとおんなじばいねぇ✍ で……あなたにはどげなホムンクルスの力がある、っちゅうと?」

 

 家系の話はだいたいわかった(父親の素性は不問にするけど)。それに続く律子の最も尋ねたい点は、やはりホムンクルスとしての特殊能力に尽きていた。そこでもはや、興味本位を隠さずに丸出しとして、先輩盗賊はテーブル上に身を乗り出した。これに秋恵は、顔をやや下向き加減にして、それからポツリと答えてくれた。

 

「はい……それはぁ……」


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