『剣遊記超現代編T』 第二章 男一名イコール美女四名? (15) スーパー銭湯からの帰り道。孝江は他の三人+涼子に比べ、段違い過ぎるほど真っ赤な顔になっていた。
理由は、なんのことはなかった。けっきょくジャンケン勝負に孝江が大負けをして、自分が『女体の神秘』とやらを、大っぴらに大公開する破目となったのだ。
「いやあ、ええ勉強になったっちゃねぇ♡☺」
一方で、一番にジャンケンに勝った治代は、大きな満足顔となっていた。
「男の証明がのうなっても、しっかり毛は残っとうし、女になって初めて小便したとき、いきなりジャーーっち凄い音がしたんは、男と違ごうて出るとこが真下やったもんやけ、小便が直接水洗便所の水んとこに落ちた音やったんやねぇ☻☞ それに『あそこ』から赤ちゃんが出るやなんて、漫画を描く身分でありながら、今まで不勉強過ぎたばい✌ むしろ深く反省せんといけんかもねぇ⚠」
治代の言うとおり、銭湯のシャワールームでの臨時性教育は、再び無垢な幼児たちまで巻き込んでの、一大イベントへと発展した。
ジャンケンに負けた孝江は覚悟を決め、ルームのタイルに尻を付けて、見事な大股開きを披露してやったのだ。そこを孝乃、治花、治代たち三人に加え、興味を募らせた涼子や関係のない幼児たちまでが、一斉に研究と探求に励んでくれたわけである。
「身内だけならまだ良かったとに、なして縁のなか子供ん前であげな格好ば、おれはせんといけんとや♨」
憤懣気分の収まらない孝江であるが、もはや後の祭り。でもって、最後に上げた雄叫びが、これ。
「今度はおまえらの神秘ば、おれに見せちゃりやぁーーっ! おれ……やないあたしだけまだ勉強できんちゅうのは、絶対不公平なんやけねぇ!」
「それは今度ジャンケンに勝ったときに、あたしたちんば見せてやるけねぇ☻」
「あたしは嫌やけねぇーーっ♡」
「お姉ちゃんたちぃ、女であること忘れとうばぁーーい!」
右手に洗面器をかかえた治代が先頭に立ち、涼子がそれに続き、さらに全員笑って走りながらで、そろっての家路を急ぐ顛末となったしだい。
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